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生理後症候群とは
生理「前」ではなく、生理「後」に起きる不調
生理前の不調を指す「PMS(月経前症候群)」はよく知られています。しかし実際には、生理が終わったあとに体調が悪化する方も少なくありません。次のような症状に心当たりはありませんか。
- 生理後になると体がだるい
- 強い眠気におそわれる
- 動悸や息切れがある
- 不安や気分の落ち込みが続く
- 集中力が続かない
- 冷えやすく疲れがとれない
こうした症状は、月経による出血で起こる「貧血」や「潜在性鉄欠乏(かくれ貧血)」が関係している可能性があります。「生理後症候群」は正式な医学的診断名ではありませんが、生理後に不調をくり返す女性の多くに、見逃されがちな鉄不足が隠れています。
PMSとの違い
生理前(PMS)と生理後の不調は、原因が異なります
不調が出る「タイミング」によって、背景にある主な原因は変わります。生理前の不調は主にホルモンの変動、生理後の不調は出血にともなう鉄・血液の損失が関わりやすいと考えられています。
| 生理前の不調(PMS) | 生理後の不調(生理後症候群) | |
|---|---|---|
| 主に起きる時期 | 生理が始まる3〜10日ほど前(黄体期) | 生理の終わりごろ〜終わった後 |
| 関わりやすい原因 | 女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の変動 | 出血による鉄・血液の損失、貧血・潜在性鉄欠乏、ホルモンの急な変化 |
| 出やすい症状 | イライラ、むくみ、乳房のはり、頭痛、気分の変動 | だるさ、強い眠気、動悸、息切れ、冷え、気分の落ち込み |
| 生理が始まると | 多くは軽くなる | むしろ悪化・持続することがある |
「生理が終わればラクになるはず」と思っていたのに不調が続く場合は、ホルモンだけでなく鉄不足の視点で一度確認してみることをおすすめします。
「貧血」と「かくれ貧血」
「貧血」と「潜在性鉄欠乏(かくれ貧血)」はどう違う?
貧血とは、血液中のヘモグロビン(酸素を運ぶ成分)が少なくなり、全身が軽い酸欠のような状態になることをいいます。これはよく知られていますよね。
一方で、潜在性鉄欠乏(かくれ貧血)という言葉は、あまり聞いたことがないかもしれません。これは、貧血と診断されるほどヘモグロビンは下がっていないけれど、体の中に蓄えられた鉄(貯蔵鉄)が減っている状態のことです。
ヘモグロビンを「毎月の給料」、貯蔵鉄(フェリチン)を「貯金」にたとえるとわかりやすくなります。貯金を切りくずしている間は給料額(ヘモグロビン)は保たれるため、健康診断では「異常なし」と出やすいのです。しかし貯金が減った状態では、疲れやすさ・イライラ・冷え・気分の落ち込みなど、さまざまな不調が現れることがあります。
潜在性鉄欠乏は、一般的な健康診断では測定しない採血項目のため、本人も気づかないまま不調が続いてしまうことが多いのが特徴です。生理後に体調を崩す女性の一部は、この鉄不足が背景にある可能性があります。
セルフチェック
生理後症候群 セルフチェックリスト
次の項目に当てはまるものが多い場合、鉄不足・かくれ貧血の可能性があります。
- 生理後に体がだるく、起き上がりづらい
- 生理後に冷えを感じ、おなかを下しやすい
- 倦怠感が強く、やる気が出ない
- 立ちくらみ・ふらつき・息切れがある
- 夜、足がむずむずして眠れないことがある
- 爪が割れやすい・髪が抜けやすいと感じる
- 氷など、冷たい物をむしょうに食べたくなる
診断について
生理後症候群は診断できるの?
「PMS(月経前症候群)」や「貧血」には医学的な診断名がありますが、「生理後症候群」や「潜在性鉄欠乏」は、それ自体が正式な診断名として存在するわけではありません。
そこで当院では、生理後の不調に対してまず採血検査を行い、鉄不足や貧血の有無を確認します。その結果にもとづいて、鉄剤や漢方薬の処方、栄養指導などを通じて症状の改善を目指します。
また、心療内科では身体的な治療に加えて、メンタル面のケアを含めた総合的なサポートを行えるのが特徴です。ストレス管理や睡眠の質の改善、カウンセリングを通じて心身のバランスを整えるアプローチも可能で、症状の根本的な改善を図ることができます。
生理後症候群の検査項目
一般的な健康診断では「貧血があるかどうか」だけを確認することが多いですが、当院では「鉄が不足していないか」「その原因は何か」まで、より詳しく調べます。
WBC(白血球)/Hb(ヘモグロビン)/MCV(平均赤血球容積)/Ht(ヘマトクリット)などで、貧血の有無やタイプを確認します。
血清鉄(Fe)/フェリチン(Ft)を測定し、体内の鉄の「貯金」=貯蔵鉄がどれだけ残っているかを確認します。
症例
生理後症候群の症例
ホルモン調整で倦怠感が改善
生理後に倦怠感と不安感が強く、仕事に支障が出るほどの不調で来院。血液検査では鉄不足は見られず、ホルモンバランスの乱れが疑われました。医師の診察のうえで低用量ピルによる周期の安定を図る治療を開始したところ、生理後の不調がやわらぎ、生活の質が向上したとご報告いただきました。
鉄剤の補充で疲労感と冷えが改善
生理後の疲労感と冷えで日常生活に支障が出て受診。検査でフェリチン値が低く、潜在性鉄欠乏と考えられました。鉄剤の補充を開始し、あわせて鉄分を含む食事を取り入れる栄養指導を行ったところ、疲労感がやわらぎ、体調が安定してきたとのことでした。
治療
生理後症候群の治療
血液検査の結果にもとづき、必要に応じて次のような治療を組み合わせて行います。
鉄不足が確認された場合は鉄剤で補充。体質やほかの症状に合わせて漢方薬を用いることもあります。
食事から鉄分を取り入れやすくする工夫や、吸収を高める組み合わせをアドバイスします。
鉄不足以外が背景にある場合は、ストレスや睡眠、気分の落ち込みに対するケアを行います。
睡眠の質や生活リズムを整えることで、心身のバランス回復を後押しします。
生理後の不調をやわらげるセルフケア
鉄分を意識した食事
鉄には、肉や魚に多く吸収されやすい「ヘム鉄」(赤身肉・レバー・かつお・まぐろなど)と、野菜や大豆に含まれる「非ヘム鉄」(ほうれん草・小松菜・ひじき・大豆製品など)があります。動物性・植物性をバランスよく取り入れましょう。
吸収を助ける・妨げるもの
ビタミンCやたんぱく質は鉄の吸収を助けます。一方で、食事の直前・直後に濃いお茶やコーヒー(タンニン)を大量にとると吸収が妨げられることがあるため、量やタイミングに少し気を配ると安心です。
受診の流れ
はじめての方へ ── 受診の4ステップ
Supervised by — 理事長
田中 遥(たなか はるか)
医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 理事長/専門:心療内科・睡眠障害内科
「環境・身体・認知」の観点から状態を分解し、診断書の発行だけでなく、再発しない形で社会に復帰し、自立して働ける未来を目指す診療を行っています。
働く人の心の
診療実績
TMS治療
(薬に頼らないうつ治療)
著書・
監修書籍
メディア出演
・掲載・講演
FAQ
よくあるご質問
生理後症候群とは何ですか?
生理が終わったあとに、だるさ・強い眠気・動悸・不安・気分の落ち込みなどの不調が現れる状態を、俗に「生理後症候群」と呼びます。正式な医学的診断名ではありませんが、背景には月経による出血で起こる貧血や、潜在性鉄欠乏(かくれ貧血)が隠れていることがあります。
PMS(月経前症候群)と生理後の不調は何が違いますか?
PMSは生理が始まる前(黄体期)に起こり、女性ホルモンの変動が主な原因と考えられています。一方、生理後の不調は、出血にともなう鉄・血液の損失やホルモンの急な変化が関わりやすく、「生理が終わってからむしろつらい」という特徴があります。どちらのタイミングで不調が強いかは、原因を考えるうえで大切な手がかりになります。
潜在性鉄欠乏(かくれ貧血)とは何ですか?
体内の鉄が不足し、ヘモグロビンを作る材料が十分でない状態を指します。貧血とは診断されないものの、イライラや憂うつ、集中力の低下、朝起きられない、冷え、疲れやすさ、肌荒れなどの症状が現れることがあります。ヘモグロビンが下がる前の段階のため、一般的な健診では見つかりにくいのが特徴です。
なぜ健康診断では鉄不足が見つからないのですか?
一般的な健診では、貧血の指標であるヘモグロビンを中心に確認します。しかし鉄はまず「貯蔵鉄(フェリチン)」から減っていくため、フェリチンを測らないと、ヘモグロビンが正常でも鉄が枯れかけている状態を見逃してしまいます。当院ではフェリチンを含む鉄動態まで調べます。
鉄FeとフェリチンFtの違いは何ですか?
血清鉄(Fe)は「今、血液中を流れている鉄の量」、フェリチン(Ft)は「体内に蓄えられている鉄=貯金の量」を示します。フェリチンが低いと、たとえ貧血がなくても鉄不足による不調が起きやすくなります。当院では貯蔵鉄の回復を確認しながら治療を進めます。
鉄剤を飲むときのアドバイスはありますか?
鉄剤は、ビタミンC・ビタミンB12・葉酸などと一緒にとると吸収率が上がります(葉酸は妊娠中・妊活中の方は特に多めの摂取がすすめられます)。これらは水溶性で過剰摂取の心配が少ない栄養素です。鉄剤だけに頼らず、バランスのよい食事を心がけましょう。飲み方や量は、必ず医師の指示に従ってください。
鉄分を多く含む食べ物は何ですか?
吸収されやすいヘム鉄は、赤身肉・レバー・かつお・まぐろ・あさりなどに多く含まれます。非ヘム鉄は、ほうれん草・小松菜・ひじき・大豆製品などに含まれ、ビタミンCやたんぱく質と一緒にとると吸収が高まります。食事の直前・直後に濃いお茶やコーヒーを大量にとると吸収が妨げられることがあるため、タイミングに気を配ると安心です。
生理後の不調で心療内科を受診するメリットは?
心療内科では、鉄不足だけでなく、心身のバランスを総合的に整えるサポートが受けられます。特に、生理後の不調がストレスやメンタル面と関係している場合、身体面の治療とあわせて専門的にアプローチできます。当院は働く人のメンタルに特化しており、仕事や生活の状況も踏まえてご相談いただけます。
初診ではどんなことをしますか?
初診では、現在の症状やお悩みをていねいに伺い、必要に応じて血液検査を実施します。その結果をもとに、鉄剤や漢方薬の処方、カウンセリングなどの治療方針を一緒に決めていきます。「受診するほどか迷う」段階でも、まずは状態を知る検査からご案内しますので、お気軽にご相談ください。
予約は必要ですか?当日でも受診できますか?
ご予約はWeb予約フォームから承っています。当日の初診受付にも対応しています。神田駅から徒歩1分で、平日は夜間、土曜・日曜も診療しているため、お仕事帰りや週末にも通いやすい環境です。