【職場のトラウマ】仕事を思い出すと動悸・吐き気…原因と治療法を医師が解説|東京・神田






監修:田中 遥 医師(ベスリクリニック東京 理事長)
公開 2024.07.18 / 更新 2026.06.29

仕事を思い出すと、つらい。
その動悸や吐き気は、
職場のトラウマ
かもしれません。

平日の朝になると気分が重い、職場の特定の人を思い浮かべると胸が苦しい——。それは「気のせい」や「甘え」ではなく、心と身体が起こしている自然な反応です。適切に治療すれば、多くの場合しっかり改善します。

神田駅 徒歩1分/夜間・土日診療/医師全員が産業医経験あり

Self Check

こんなお悩みはありませんか

ひとつでも強く当てはまり、仕事や生活に支障が出ているなら、トラウマ症状として治療の対象になることがあります。

  • 平日の朝、動悸や吐き気が強くなる
  • 職場の特定の人を思い浮かべるとつらくなる
  • その人を前にすると動悸がする
  • 仕事の嫌な夢を繰り返し見る
  • 休みの日も「連絡がくるのでは」と怖い
  • 仕事用のPCを開こうとしても開けない
  • ミスや叱責の場面が、ふいに何度もよみがえる
  • 以前は平気だったことに、強く緊張するようになった
大切なポイント:これらは「危険から身を守るため」に心と身体が起こす反応です。異常な状況に対する正常な反応であり、本人の弱さではありません。

What is it

「仕事のトラウマ」とは何か

いわゆるトラウマとは、ある出来事によって肉体的・精神的な強い衝撃を受けたあと、長くそれにとらわれてしまい、日常生活に否定的な影響が出ている状態を指します。職場で起きるものは、叱責・人格否定・過度なプレッシャーなどがきっかけになりやすいのが特徴です。

代表的なトラウマ症状

似た出来事を思い出すと嫌な気持ちになる/思い出した瞬間に動悸・吐き気・頭痛などの自律神経症状が出る/同じ嫌な記憶や夢を繰り返す/きっかけに関連する場所や状況を避ける/気分の落ち込み・意欲や集中力の低下/寝つきが悪く眠りが浅い/些細なことでイライラ・不安が起きやすい——こうした反応が代表的です。

特定の状況でだけ出る反応もあれば、関係のない場面でも強く出る反応もあります。どれも、心が「これ以上傷つかないように」と働いている結果です。

Mechanism

なぜトラウマ症状は起きるのか

トラウマ症状は「異常な状況に対する正常な反応」です。

サバンナで、お腹を空かせたライオンが10メートル、7メートル、5メートルと近づいてくる——。動悸がして、頭が真っ白になり、その場から逃げ出したくなる。これは命を守るための、当然の反応です。

逃げ切れたあとも、その場所を思い出すと怖くなる。
明日も近づくと思うと眠れない。
すべて「危険にこれ以上近づかないため」の仕組みです。

トラウマ反応でも、これと同じことが起きています。実際に目の前にいるのはライオンではなく、上司に叱られても命の危険があるわけではありません。それでも脳が「これは危険だ」と判断すれば、身体は自動的に、ライオンを前にしたのと同じ反応を示します。

つまりトラウマ反応そのものは悪いものではなく、無意識のうちにあなたを守るために現れた正常な反応です。自分を守る力が正しく働いているからこそ起きている、ともいえます。ただし反応が過剰になり、仕事や生活に支障が出る場合には、医療機関やカウンセリングでの治療が有効です。

職場のトラウマ症状が起きる流れを示す図。左から右へ4段階。①出来事(叱責・人格否定・過度な負荷)→②脳が「これは危険だ」と判断→③身体が自動的に防御反応を起こす(動悸・吐き気・回避・過覚醒)→④心と身体を守る正常な反応、と矢印でつながっている。命の危険がなくても、脳が危険と判断すれば身体は防御反応を示すことを表す。
命の危険がなくても、脳が「危険」と判断すれば身体は自動的に防御反応を示します。これは異常な状況に対する“正常な反応”です。

Triggers

ビジネスパーソンに多いきっかけ

共通するのは「安全がおびやかされたように感じた」こと。
同じ状況でも、トラウマになる人とならない人がいます。

オンライン会議での叱責

ミスを画面越しに指摘され、逃げ場のない感覚が残る。

チャットツールでの公開指摘

大勢が見ている前でミスを指摘され、強い羞恥や恐怖を感じる。

休日・時間外の叱責電話

休みの日でも時間を問わず連絡が来て、安全な時間がなくなる。

人格を否定される関わり

口調のきつい相手から繰り返し指摘され、自分を否定されたように感じる。

同じ「ミスの指摘」でも、相手と十分な信頼関係があれば問題なく受け止められます。近年はオンライン中心で相手の人となりが見えにくく、プライベートのつながりも薄くなりがちで、以前より「安全」を感じにくくなっているといわれます。
また、幼少期の体験が関連して特定の状況に強く反応することもあり、その場合は時間をかけて丁寧に治療することで、生き方そのものを見直すきっかけになることもあります。

Recovery

トラウマ症状は
どう改善するか

メカニズムからわかる通り、「危険だ」と感じていた状況を「安全だ」と認識できたとき、心はそれ以上自分を守る必要がなくなり、症状はやわらいでいきます。

治療では、いきなり嫌な記憶に向き合うのではなく、まず治療者との間に「安全」を感じられる関係をつくります。そのうえで、無理のない範囲で少しずつ記憶を整理していくことが基本です。安全の土台があるほど、回復は進みやすくなります。

具体的な治療法を見る

トラウマが回復していくプロセスを示す図。左から右へ4段階。「危険」と感じる状態(症状が続く)→①治療者と安全な関係づくり→②無理のない範囲で記憶を少しずつ整理→「安全」と認識でき症状がやわらぐ。下部に濃い色から淡い色へのグラデーション帯があり、危険から安全への移行を表す。
いきなり記憶に向き合うのではなく、まず「安全」の土台をつくることが回復の出発点です。安全を感じられるほど、回復は進みやすくなります。

Timeline

時期別の症状と対処法

トラウマ体験のあとは、時期によって起きやすい症状と適した対処が変わります。

01

急性期(直後〜約3週間)

夜眠れない、何度も思い出す、思い出すと動悸・吐き気が出る時期。ショックは一時的なことも多く、まずは感情を吐き出すことが大切です。

一般的な対処

  • 上司・同僚・産業医に相談する
  • 家族や友人など信頼できる人に話す
  • 休日は没頭できる趣味で気を紛らわす
  • 症状が強ければその場を離れる(休む)

当院でのアプローチ

  • カウンセリング、ブレインスポッティング(BSP)など
02

適応期(約3週間以降)

出来事自体は落ち着いても、似た状況で身体症状が出たり、思い出すと嫌な気持ちになる時期。1か月以上影響が残るなら受診を積極的に検討します。

一般的な対処

  • 睡眠・食事・運動など生活習慣を整える
  • 信頼できる人への相談を続ける
  • 改善しなければカウンセリングを検討
  • 場合により転職・部署異動も視野に

当院でのアプローチ

  • ソマティック・エクスペリエンシング(SE)、EFT、TMS治療、漢方薬など
体験後の経過と対処の目安 急性期 不眠・フラッシュバック まず相談・安全確保・休息 適応期 似た状況で身体症状が出る 生活を整え、無理なく振り返る 直後 約3週間 1か月 経過 → 1か月以上続くなら受診を検討
急性期のショックは一時的なことも多い一方、1か月以上影響が残る場合は自然回復が難しいサイン。

When to visit

受診を考えるタイミング

医療機関やカウンセリングに行くべきか迷う方は多くいます。判断のポイントは大きく2つです。

日常生活や仕事に支障が出ているか眠れない、出勤できない、集中できないなど、生活が回らなくなっているとき。
自然に改善する見込みがあるか1か月以上たっても良くならない、むしろ悪化しているとき。
相性も大切です。治療は治療者との相性が結果を左右します。受診のハードルは高く感じても、合わないと思えば別の場所を試せば大丈夫。まずは試して、安心して進められるかを確かめるのがおすすめです。
トラウマ・PTSDを東京で受診を検討するかどうかの判断フローチャート。Q1「生活や仕事に支障が出ているか」で『はい』なら医療機関・カウンセリングへの相談を検討。『いいえ』ならQ2「1か月以上たっても改善しない、または悪化しているか」へ進み、『はい』なら同じく相談を検討、『いいえ』ならセルフケアで様子を見て再燃時に相談する、という流れを矢印で示している。
「①生活への支障」か「②改善の見込みのなさ」のどちらかに当てはまれば、専門機関への相談を検討する目安です。

Treatment

当院で行うトラウマ治療

「まず眠れるようになりたい」「苦手な人を前にしても大丈夫になりたい」——お悩みに合わせて、カウンセリングや処方をオーダーメイドで組み合わせます。

あなたに合わせた治療の組み立て方を示す図。左の「お悩み(不眠・動悸など)」から「医師の診察(見立て・プロセス設計)」を経て、トラウマカウンセリング/漢方薬・西洋薬/TMS治療(磁気刺激)/休職・復職サポートの4つの治療へ矢印が分岐している。これらを組み合わせて再発予防とパフォーマンス回復を目指すことを表す。
治療はひとつに限りません。状態に応じて複数を組み合わせ、「働きながら治す」「一度休む」なども含めて最適化します。
トラウマカウンセリング

退役軍人へのトラウマ療法が発展した米国生まれの手法が中心。Brainspotting、Somatic Experiencing、EFTなどから、あなたに合うものを診察で提案します。まず「安全」を感じられる関係をつくり、少しずつ記憶を処理していきます。

こころ外来

内服薬(漢方薬・西洋薬)

漢方薬は副作用がほとんどなく、「日中に眠くなると困る」働く人に向いています。眠れない日が続く場合の睡眠薬、不安が強い場合の抗不安薬など、一時的に症状をやわらげ良い循環をつくる手段としても有効です。

体質に合わせて処方

TMS治療(経頭蓋磁気刺激)

磁気で脳を刺激し、意欲低下・集中力低下といった症状を改善します。頭が回らない・無気力が強いときは、カウンセリングの前にTMSを行うのが有効なことも。副作用が少なく短期間で行え、働きながらの治療に向いています。

薬に頼らない

休職・復職のサポート

医師全員が産業医経験を持ち、休職が必要かの判断、診断書、段階的な復職計画まで対応。「休んだほうがいいのか」「いつ戻れるのか」も含めて一緒に考えます。

産業保健の知見

在籍:専門の異なるカウンセラー60名以上・医師10名以上(2022年12月時点)。初診では医師の診察で、あなたに合った治療プロセスを提案します。

Cases

治療ケース例

働く方へのトラウマ治療の一例
(個人が特定されないよう内容を一般化しています)

30代・会議での叱責がきっかけ

朝の動悸とPCを開けない症状。TMSで意欲を回復させたうえでカウンセリングを行い、休職を経て復職。落ち着いて働けるように。

40代・繰り返す人格否定

特定の上司への強い恐怖。カウンセリングを進める中で幼少期からの生きづらさの背景にも気づき、自信を持って働けるように。

トラウマ症状は一見つらいものですが、適切に扱えば、理想とする生き方に近づくきっかけにもなります。

Supervised by — 理事長

田中 遥(たなか はるか)

医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック東京 理事長/専門:心療内科・睡眠障害内科

「環境・身体・認知」の観点から状態を分解し、診断書の発行だけでなく、再発しない形で社会に復帰し、自立して働ける未来を目指す診療を行っています。

17,000+

働く人の心の
診療実績

5,000+

TMS治療
(薬に頼らないうつ治療)

約20冊

著書・
監修書籍

20件+

メディア出演
・掲載・講演

FAQ

よくある質問

仕事のトラウマと治療について、よく寄せられる質問にお答えします。

仕事のことを思い出すと動悸や吐き気がします。これはトラウマですか?
特定の出来事や人を思い出したときに動悸・吐き気・頭痛などの身体症状が出るのは、トラウマ症状の代表的なサインのひとつです。これは「危険から身を守るための正常な反応」であり、本人の弱さではありません。仕事や生活に支障が出ている場合は、治療で改善が見込めます。
パワハラや叱責が原因でも「トラウマ」と呼べるのでしょうか?
命の危険がなくても、脳が「安全がおびやかされた」と感じればトラウマ反応は起こります。オンライン会議での叱責、チャットでの公開指摘、時間外の叱責電話、人格を否定される関わりなどは、職場で多いきっかけです。出来事の大小ではなく、ご本人がどう感じ、どれだけ支障が出ているかが大切です。
放っておけば自然に治りますか?
急性期(体験直後〜約3週間)のショックは一時的なことも多く、信頼できる人への相談や生活を整えることで落ち着く場合があります。一方で、1か月以上たっても改善しない、むしろ悪化している、生活に支障が出ているといった場合は、自然回復が難しいサインです。早めの相談をおすすめします。
受診したほうがよいタイミングの目安は?
判断のポイントは2つです。①日常生活や仕事に支障が出ているか(眠れない、出勤できない、集中できない等)、②自然に改善する見込みがあるか。どちらかに当てはまる場合は、医療機関やカウンセリングへの相談を検討してください。
トラウマは本当に治るのですか?どのくらいで良くなりますか?
「危険」と感じていた状況を「安全」と認識できるようになると、症状はやわらいでいきます。多くの方で改善が見込めますが、回復のスピードは症状の強さや背景によって異なります。まず安全を感じられる関係をつくり、無理のない範囲で進めるため、焦らず取り組むことが大切です。具体的な見通しは診察でお伝えします。
薬を使わない治療はありますか?
あります。当院は「薬に頼りすぎない」治療が特徴で、カウンセリング(Brainspotting・Somatic Experiencing・EFTなど)、磁気を使うTMS治療、副作用の少ない漢方薬などを組み合わせます。働きながら治療したい方には、眠くなりにくい漢方やTMSが向いていることもあります。
働きながら通えますか?仕事を辞めないと治りませんか?
多くの方が働きながら通院されています。神田駅徒歩1分で、平日は夜まで、土曜・日曜も診療しているため、仕事帰りや週末に通えます。退職や休職が必須というわけではなく、状態に応じて「続けながら治す」「一度休む」など最適な方針を一緒に考えます。
休職の診断書はその日にもらえますか?
医師が必要と判断した場合、診断書の即日発行に対応しています。あわせて、休職手続きの進め方や、その後の段階的な復職計画までサポートします。
復職(職場復帰)のサポートはありますか?
あります。医師全員が産業医経験を持ち、復職のタイミング判断や段階的なリハビリ出勤の計画など、「再発しない形で働ける状態」までサポートします。
通院していることが会社や家族に知られませんか?
ご本人の同意なく、受診の事実が会社やご家族に伝わることはありません。プライバシーに配慮して診療しています。
幼少期のつらい体験も関係していると感じます。相談できますか?
はい。特定の状況に強く反応する背景に、幼少期の体験が関連していることは少なくありません。その場合は時間をかけて丁寧に治療することで、生き方そのものを見直すきっかけになり、長く抱えていた生きづらさが大きく改善する例もあります。
予約はどうすればよいですか?当日でも受診できますか?
ご予約はWebの予約フォームから承っています。当日の初診受付にも対応しています。「いまの状態を知りたい」「休職が必要か判断したい」「どの治療が合うか相談したい」といった段階でも、お気軽にご相談ください。

Reservation

まずは、いまの状態を相談することから。

「休職が必要か知りたい」「どの治療が合うか相談したい」——そんな段階でも大丈夫です。東京・神田でトラウマ治療をお探しの方は、お気軽にご予約ください。

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