晴天率が高く「晴れの特異日」である11月3日にベスリ学会が開催されました。
今回のテーマは、「初診で来院された患者さんのメディカルデザイン」です。
当院を受診された患者さんは、卒業(ベスリクリニックでは治療が終了し、病気になる前より思考の成長をして再発しないスキルを獲得できた段階を卒業といいます)するまで、いろいろな治療を組み合わせステップを踏んで治療をしていきます。
このように治療をデザインしながらチームで治療をしているのです。それをどのように進めていけばいいのか、クリニックのスペシャリストが参集し白熱した議論が展開されました。その様子をリポートします。
●基調講演 ・・・精神科医療の課題
獨協医科大学埼玉医療センターのこころの診療科の教授で、当院で精神科医師として非常勤で勤務されているメディカルディレクターの井原先生の講演を拝聴しました。
講演の内容は
治療必要数(NNT) number needed to treat・・・(ある対象集団にある介入を行った場合,1人に効果が現れるまでに何人に介入する必要があるのかを示した数字)があるのですが、抗うつ剤は5.つまり、5人に1人程度の効果であるという研究結果をお聞きしました。
このような現状の中、なぜ、精神医療では薬を出し続ける傾向があるのか なぜ、薬を変えていくのか・・・講演はその真相に迫った内容でした。
薬を出し続けるのは「充分量、充分期間」のイデオロギーがあること・・・つまり、投薬は必要な量を十分な期間使う治療方針があるということです。一方、薬を変えるのは「雨乞い三夕」の哲学をもとに説明をしていただきました。
精神科医療の現状を大変わかりやすく説明していただきました。
私たちベスリクリニックの治療方針は、薬を使うことでも、薬をコーディネイトすることでもなく、「自己治癒力を高める」ことであること再認識致しました。
●ゲストによる演奏
沖縄の音楽好き精神科医『ウクレレきよし』こと、長田先生によるウクレレの演奏をお聴きしました。先生はこのような↓書籍を出版されているユニークな先生です。
懐メロをもとに、今の精神科医療の現状を替え歌で歌ってくださいました。歌う精神科医。まるで「綾小路きみまろ」のようで、皆の笑顔満開でした。
●ケーススタディ 1
当院ではビジネスマンの方の受診が80%を占めております。新人、中間管理職、管理職の方が、仕事の生産性、人間関係など多種多様な問題を抱え受診されます。会社、上司に問題がありそう。しかし、受診をしているのは、影響を受けている患者さん。このような場合どのように対応するかを議論しました
●ケーススタディ 2
頭痛、めまいなどの身体症状があるが、ご本人は周囲に進められて受診をされたのであまり治療意欲が見られない方のケースです。私たちは、患者さんの「直りたい」という力を支える治療を行います。しかし、様々な事情によりそれが明確でない患者さんもいらっしゃいます。「直りたい」「○○のようになりたい」をどう引き出すか、今回、様々なスペシャリストから、活発な意見が出ました。例えば、過去の(よいこともわるいことも)成功体験をうまく引き出して一緒に考えたり、時には、その方の今後の人生を共に考えたり・・・。
2時間以上にわたり、白熱したディスカッションがなされました。
明日から、さらにベスリクリニックを選んで受診してくださった患者さまのために、スタッフ一同、尽力いたします。