【参加報告】HUMAN CAPITAL CONFERENCE 2026
AI時代の人的資本経営で、従業員への最優先投資領域とは
ベスリクリニックの心療内科医・睡眠障害内科医が参加しました
2026年11月2日に開催された「HUMAN CAPITAL CONFERENCE 2026」(主催:日本睡眠協会)に、当院の心療内科医・睡眠障害内科医が参加しました。企業の経営・人事の視点から、睡眠とコンディションがなぜ重要なのかが語られました。あわせて、健康経営が参加率や満足度で評価されがちな現状への課題も示されました。診察室で睡眠のお悩みを日々うかがう立場から、印象に残った内容をご報告します。
■開催概要
日時:2026年11月2日(月)14:00〜18:00
基調講演:野口 謙吾 氏(日本睡眠協会 理事/元・三井住友信託銀行 代表取締役副会長)
講演:鳥越 慎二 氏(アドバンテッジリスクマネジメント 代表取締役社長)
講演:真坂 晃之 氏(エーザイ株式会社 執行役 チーフHRオフィサー)
パネルディスカッション:モデレータ 飯田 悠祐 氏(ACCELStars 執行役員 Chief Business Officer)
■大切なのは「能力発揮率」
エンゲージメントや満足度もよく語られますが、人的資本として本来考えるべきなのは「仕事にどう影響が出るか」だという整理がありました。たとえば、社員が30分長く寝たからといって、すぐにROE(自己資本利益率)が高まるわけではありません。コンディションが整うことで能力発揮率が上がり、稼働時間・パフォーマンス、事業成果、財務成果へとつながっていく、という流れで考えることが大切です。
能力を持っていることと、それを発揮できることは別のものです。発揮できるかどうかは「能力×意欲×コンディション」で決まります。意欲はマネジメントや研修で高められますが、コンディションは「いいからやれ」では整いません。お子さんの発熱や体調不良、そして睡眠不足などが左右します。そのコンディションを大きく左右するのが睡眠です。
■今の健康経営の課題
今の健康経営の取り組みは、本当の生産性を評価できていないという課題が指摘されました。多くの企業では、施策への参加率や満足度で成果を測っています。しかしそれでは、活動そのものの評価にとどまります。その活動が実際の仕事にどう生かされ、成果につながったのかまでは確認できていません。
睡眠セミナーに何人が参加したか、満足したかではなく、日中の眠気や集中力、ミスや事故の減少といった、仕事への影響で見ていく必要があります。参加率や満足度は活動の指標で、能力発揮率や事業成果につながっているかが、人的資本として問われる部分だと感じました。
■「夜を測る」のではなく「昼をデザインする」
こうした課題を踏まえ、従業員の夜のプライベートな睡眠を把握しようとするのではなく、会社にいる昼間の環境と時間を再設計する、という考え方も印象的でした。たとえば会議の時間を調整する、人はどんな環境・時間帯で能力を発揮しやすいのかを考える、といった取り組みです。
効果を見る事業KPIとしては、日中の眠気、集中力の改善度、プレゼンティーズムの損失、エラー・事故・ミスの減少などが挙げられました。
■睡眠問題と生産性・メンタル不調
ウェルビーイングと仕事のパフォーマンスには相関があります。生活習慣の指標のうち、睡眠・休養の項目にリスクがある場合は、プレゼンティーズムによる損失コストの差額が大きいことも示されました。また、高ストレス者の60%以上が睡眠の問題を抱えており、睡眠問題はメンタル不調とも深くかかわります。
■診療の立場から
診察でも、「眠れない」ことと「気分の落ち込み・不安・集中力の低下」が同時に起きているケースは少なくありません。睡眠の問題を「気の持ちよう」で片づけず、仕事や生活への影響として捉え、早めに相談していただくことが大切だと改めて感じました。
日中の強い眠気、集中力の低下、寝つけない・夜中や早朝に目が覚めるといったお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。