【参加報告】「コンディショニングフォーラム」に参加しました ― 働く人の健康と運動習慣を考える

【お知らせ】「コンディショニングフォーラム」に参加しました

2026年9月11日(金)、日本橋ホールにて開催された「コンディショニングフォーラム」(主催:大塚製薬株式会社ニュートラシューティカルズ事業グループ、特定非営利活動法人健康経営研究会/後援:健康保険組合連合会、独立行政法人日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター)に、当院のスポーツ医・心療内科医が参加いたしました。

働く方々の健康と「Well-being」をテーマに、健康経営・行動変容・産業保健・スポーツ科学の専門家が登壇し、充実した内容の一日となりました。特に印象に残った内容をご紹介いたします。

■講演Ⅰ『これからの健康経営 ‐セルフコンディショニングによる人的資本の基盤づくり‐』
岡田 邦夫 先生(特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長)

これからの健康経営は「健康経営3.0」、すなわち「自分の健康は自分がつくる」という考え方が土台になる、というお話がありました。

健康を支える責任は、経営者(法令遵守)― 管理職・組織(安全配慮義務)― 従業員個人(自己保健義務)という三層で成り立っており、個人の主体的な取り組みが欠かせないこと
禁煙・睡眠・運動習慣といった生活習慣の改善は、離職者数などの指標にとどまらず、企業の営業利益そのものに結びつくこと
近年の健康経営では特に「睡眠」が重要なトピックであり、睡眠不足による経済的損失は無視できない規模であること

また、高齢社会を生きるうえでは「十分な蓄えがあるか」と並んで、「高齢になっても働き続けられる体力があるか」が大きな分かれ目になるとのご指摘がありました。

認知症の危険因子として、難聴・運動不足・LDLコレステロール高値・糖尿病・高血圧・うつ病などが挙げられ、いずれも日頃の管理で改善が期待できるものです。さらに、筋肉から分泌されるマイオカインが動脈硬化やがんの予防に関わることも紹介され、身体を動かすこと自体の重要性が強調されました。

「運動する時間がないという方は、あとから病気に悩む時間ができてしまう」「健康の55%は遺伝で決まるが、45%はライフスタイルで決まる」というお言葉が、特に心に残りました。

■講演Ⅱ『運動・スポーツが職場に与える影響と環境整備の重要性』
中村 宇一 氏(スポーツ庁 健康スポーツ課 課長)

働く世代で日常的に身体を動かしている方は半数程度にとどまり、特に50代前後では仕事・家庭・介護に追われて運動の時間が取れない、という実態が示されました。「運動をしたい」と考えている方は6割を超えるものの「やりたいけれどできない」という層が大きいのが現状です。

職場でのスポーツ・運動の取り組みは、組織の活性化、エンゲージメントや従業員満足度の向上、人材の定着、生産性の向上といった複合的な効果をもたらしますが、大切なのは実施することではなく「習慣化」すること。そのためには、経営層のコミットメント、社内の旗振り役、効果検証とPDCA、社外連携によるコスト低減が鍵になるとのことでした。

健康診断で指導を受けると食事や睡眠は変えられても、時間を要する運動はなかなか行動変容につながりません。そこで「就業時間中に運動する」仕組みづくりが重要になります。海外では、コールセンターの30分休憩にフィットネスを組み込んだ事例などが紹介され、日本は問題が起きてから動きがちであるのに対し、起こる前に手を打つ発想の差が示されました。

■パネルディスカッション『従業員の元気が企業を元気にする!』/第2部 実践交流会

第1部の総括としてパネルディスカッションが行われ、第2部では企業の具体的な取り組み事例の共有と意見交換が行われました。

■当院から

今回のフォーラムを通じて、運動・睡眠・心の健康は切り離せないものであり、それを続けられる「環境」と「つながり」があってこそ習慣になる、ということを改めて実感いたしました。

当院では今回の学びを、スポーツに取り組む方の体調管理はもちろん、日々働く皆さまの心身のコンディショニングやメンタルヘルスの支援に活かしてまいります。運動習慣づくり、睡眠の悩み、職場のストレスなどについて、どうぞお気軽にご相談ください。