高齢者の不眠|原因・影響と薬に頼らない改善法を専門医が解説|ベスリクリニック東京






Sleep & Aging

年を重ねると
眠れない。
その不眠には、理由と手立てがあります。

夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう——加齢に伴う不眠は、多くの方が抱える悩みです。ベスリクリニックでは、睡眠薬にできるだけ頼らず、生活と「眠る力」の両面から不眠を整えます。

神田駅 徒歩1分/平日夜20:30まで・土日も診療

監修:ベスリクリニック東京 理事長 田中 遥(心療内科・睡眠障害内科) | 公開日:2026-07-01 更新日:2026-07-01

Introduction

高齢者の不眠とは、入眠困難(寝つきの悪さ)・中途覚醒(夜中に目が覚める)・早朝覚醒(朝早く目覚める)・熟眠障害(ぐっすり眠れた感じがしない)といった症状が続き、日中の生活に支障が出ている状態を指します。厚生労働省の調査では、高齢者の約30〜40%が何らかの睡眠の問題を抱えているとされ、加齢とともに珍しくない悩みです。

大切なのは、「眠れないこと」だけを問題にしないこと。高齢期の不眠は、転倒・認知機能・気分など全身の健康と結びついています。この記事では、原因・放置するリスク・今日からできるセルフケア、そして睡眠薬に頼りすぎない治療までを、整理します。

01 ─ Types

高齢者の不眠の4つのタイプ

ひとくちに「眠れない」と言っても、あらわれ方はさまざまです。ご自身やご家族がどのタイプに近いかを知ると、対策や受診時の相談がスムーズになります。複数が重なることも珍しくありません。

就寝 起床 正常 入眠困難 寝つけない 中途覚醒 早朝覚醒 早朝に覚醒 熟眠障害 眠りが浅い 眠り 覚醒(目が覚めている) 浅い眠り
眠りのパターンの比較。濃い帯が「眠っている時間」、切れ目が「覚醒」です。入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害で、崩れ方が異なります。
入眠困難

布団に入ってもなかなか寝つけない。30分〜1時間以上かかる状態が続くタイプ。不安や緊張が背景にあることも。

中途覚醒

夜中に何度も目が覚め、その後なかなか寝つけない。加齢でもっとも増えやすく、頻尿や体の痛みが関わることも。

早朝覚醒

予定より2時間以上早く目が覚め、二度寝できない。体内時計の前倒しや、うつ状態のサインのこともあります。

熟眠障害

睡眠時間は取れているのに「ぐっすり眠れた」という満足感がない。睡眠が浅くなる高齢期に多いタイプです。

知っておきたいこと:加齢とともに必要な睡眠時間は自然と短くなります。若い頃と同じ8時間を目標にすると「眠れない」と感じやすくなるため、日中に強い眠気や支障がなければ、多少短くても心配しすぎないことも大切です。

02 ─ Causes

なぜ高齢者は眠れなくなるのか

高齢期の不眠は、ひとつの原因ではなく複数の要因が絡み合って起こります。だからこそ、睡眠薬だけでは根本的に解決しにくく、包括的に見直すことが改善への近道になります。

高齢者の 不眠 1 加齢による 睡眠リズムの変化 2 メラトニンなど ホルモンの減少 3 持病・服用中の 薬の影響 4 ストレス・ 心理的な要因 5 生活習慣の 変化
高齢者の不眠は、ひとつの原因ではなく複数の要因が重なって起こります。だからこそ、包括的な見直しが改善の近道です。

① 加齢による睡眠リズムの変化

年を重ねると体内時計(概日リズム)が前倒しになり、夜早く眠くなって早朝に目が覚めやすくなります。深い眠り(ノンレム睡眠)が減り、全体に眠りが浅くなるのも加齢による自然な変化です。

② メラトニンなどホルモンの減少

眠りを促すホルモン「メラトニン」の分泌は加齢とともに減少します。その結果、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めやすくなったりします。日中に光を浴びる機会が減ることも、このリズムを乱す一因です。

③ 持病や服用中の薬の影響

高齢者は慢性疾患を抱えていることが多く、症状や薬の副作用が不眠につながることがあります。

高血圧

一部の降圧薬に睡眠を妨げる作用があることがあります。

糖尿病

血糖の変動や夜間頻尿で、夜中に何度も目が覚めることがあります。

認知症

アルツハイマー病などでは睡眠リズムの乱れが起こりやすくなります。

その他の薬

ステロイド、一部の抗うつ薬・鎮痛剤などが不眠や日中の眠気を招くことがあります。

服用中の薬が睡眠に影響していないかは、自己判断で中断せず、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

④ ストレスや心理的な要因

退職による生活リズムの変化、配偶者や友人との死別、経済的な不安、社会的な孤立——高齢期には眠りに影響する心理的な出来事が増えます。不安やうつ状態があると、寝つきの悪さや早朝覚醒として不眠があらわれやすくなります。

⑤ 生活習慣の変化

日中の長い昼寝、運動不足、カフェインやアルコールの影響も見逃せません。とくにアルコールは寝つきを良くするように感じても、実際には眠りを浅くし、夜間の覚醒を増やします。

03 ─ Risks

不眠を放置する4つのリスク

高齢者の不眠は単なる寝不足ではなく、身体と心の健康に幅広く影響します。「年のせい」と諦めず、早めに手を打つことが大切です。

01 転倒・骨折

日中の眠気や注意力の低下で転倒しやすくなり、骨折から寝たきりにつながることも。睡眠薬の影響でふらつきが増える点にも注意が必要です。

02 認知機能の低下

睡眠は記憶の整理や脳の老廃物排出に関わります。慢性的な睡眠不足は、認知機能の低下リスクとの関連が指摘されています。

03 気分・QOLの低下

疲労感で活動意欲が下がり、外出や交流が減って社会的孤立が進みます。うつ状態を招くこともあり、悪循環になりがちです。

04 身体疾患のリスク

不眠は血圧の上昇や免疫力の低下と関わり、長期化すると高血圧・心血管疾患・糖尿病などのリスクを高める可能性が指摘されています。

放置すると 悪循環に 不眠 夜、眠れない 日中の眠気・ 集中力の低下 活動量が減り 気分が沈む 生活リズムの 乱れ
不眠は「日中の不調 → 活動量の低下 → リズムの乱れ」を通じて、さらに眠れなくなる悪循環を招きます。早めに手を打つことが大切です。

04 ─ Self-care

今日からできるセルフケア

高齢者の不眠は、生活習慣や環境を整えるだけで改善するケースが少なくありません。まずは無理なくできることから始めましょう。

睡眠環境を整える寝室は18〜22℃・湿度50〜60%を目安に。カーテンやアイマスクで光を遮り、体に合った寝具・枕を選びましょう。
生活リズムを一定に就寝時刻より「起床時刻」を固定するのがコツ。毎朝同じ時間に起きて日光を浴び、昼寝は15〜30分・15時までにとどめます。
食事とし好品に気をつけるカフェインは午後3時以降を控え、寝る前のアルコール・喫煙は避けます。夕食は軽めにし、就寝直前の食事は控えめに。
リラックス習慣を持つ就寝1〜2時間前にぬるめの入浴(38〜40℃)。深呼吸・軽い読書・静かな音楽などで心を落ち着け、眠くなってから布団に入ります。
日中 15時 就寝 毎日同じ時間に起床 +朝日を浴びる 日中は活動的に 昼寝は15〜30分・15時まで 15時以降は カフェインを控える 就寝1〜2時間前に ぬるめの入浴 ※ 就寝直前のアルコール・喫煙は、眠りを浅くするため避けましょう。
眠りを整える一日の過ごし方。朝の光と一定の起床時間が体内時計を整え、夜の入浴とカフェイン管理が寝つきを助けます。
ポイント:「眠らなければ」と力むほど眠れなくなります。15〜20分眠れなければ一度布団を出て、眠くなってから戻る——このシンプルな工夫(刺激コントロール)は、後述するCBT-Iの中心的な考え方でもあります。

05 ─ Medication

高齢者と睡眠薬の注意点

睡眠薬は正しく使えば有用ですが、高齢者では特に慎重さが求められます。加齢で薬が体内に長くとどまりやすく、日中の眠気・ふらつき・転倒・物忘れなどの影響が出やすいためです。

「飲み始めたらやめられない」を避けるために

一部の睡眠薬は長期に使うと体が慣れ、減らす際に一時的に眠れなくなる(反跳性不眠)ことがあります。だからこそ、漫然と続けず、必要最小限で、やめ方まで含めて計画することが重要です。自己判断での中断・増量は避け、必ず医師と相談しながら調整しましょう。

ベスリクリニックの考え方:薬は「眠る力」を取り戻すまでの一時的な支えと位置づけ、生活習慣の見直しや認知行動療法と組み合わせて、できるだけ薬に頼らない形を一緒に目指します。

06 ─ Treatment

薬に頼らない治療という選択

セルフケアで改善しない、あるいは睡眠薬をなるべく増やしたくない——そんなときは、専門的な治療の出番です。ベスリクリニックでは、薬だけに頼らない複数のアプローチを、その方の状態に合わせて組み合わせます。

01

CBT-I(認知行動療法)

睡眠習慣や「眠り」への考え方を整え、薬に頼らず「眠る力」を回復していく治療。刺激コントロールや睡眠時間の見直しで、根本的な改善と再発予防を目指します。

02

漢方治療

体力や体質、冷えや不安といった全身の状態に合わせて処方。西洋薬だけでは対応しにくい不調に、負担の少ない選択肢として組み合わせられます。

03

カウンセリング・TMS治療

不安やうつが背景にある不眠には、カウンセリングや、薬を使わない磁気刺激治療(TMS治療)も選択肢に。心の状態を整え、眠りの土台をつくります。

STEP 1 CBT-I・セルフケア STEP 2 CBT-I・漢方治療・薬物療法 STEP 3 TMS治療・カウンセリング 眠る力を取り戻す 睡眠薬は「眠る力」が戻るまでの一時的な支え
薬だけに頼らず、生活の見直しを土台に、CBT-Iや漢方、必要に応じてTMS・カウンセリングを段階的に組み合わせます。
医師は全員が産業医経験を持っています。「心・脳・身体」の3つの視点から不眠の背景を丁寧に分解します。どの治療が合うかは診察のうえでご提案しますので、まずはお気軽にご相談ください。

07 ─ Family

家族・介護者ができること

高齢のご家族の不眠は、周囲のサポートで大きく変わります。
本人を責めず、生活の中で自然に整える手助けを心がけましょう。

日中の活動を増やす

散歩や買い物、日光を浴びる時間を一緒につくる。日中に動くことが、夜の自然な眠気につながります。

リズムを整える声かけ

起床・食事・就寝の時間をゆるやかに一定に。長い昼寝が続くときは、そっと声をかけて調整を。

寝室環境を整える手助け

光・音・室温、寝具の状態をチェック。本人が気づきにくい不快さを取り除きます。

受診に付き添う

服用中の薬や症状の経過を医師に伝えるうえで、家族の情報はとても役立ちます。受診の後押しを。

08 ─ When to visit

受診を考える目安

次のような場合は、セルフケアだけで抱え込まず、医療機関への相談をおすすめします。

✓ 不眠が長く続く

週に3回以上、1か月以上にわたって眠れない状態が続いている。

✓ 日中に支障がある

強い眠気や集中力の低下で、生活や活動に支障が出ている。

✓ 気分の落ち込みをともなう

不安・気分の落ち込み・食欲低下などを一緒に感じる。

✓ 薬で改善しない

睡眠薬を飲んでも改善しない、または量が増えてきた。

✓ 睡眠時無呼吸の疑い

大きないびきや、睡眠中に呼吸が止まる様子を指摘された。

ベスリクリニックは神田駅から徒歩1分
平日は夜20:30まで、土曜・日曜も診療しているため、ご家族の付き添いや仕事帰りでも通いやすい環境です。

FAQ

よくある質問

高齢になると睡眠時間が短くなるのは異常ですか?
いいえ、加齢とともに必要な睡眠時間が自然に短くなり、眠りも浅くなるのは正常な変化です。日中に強い眠気や生活の支障がなければ、多少短くても過度に心配する必要はありません。日中の不調をともなう場合は、一度ご相談ください。
睡眠薬は高齢者が飲んでも大丈夫ですか?
正しく使えば有用ですが、高齢者ではふらつき・転倒・日中の眠気・物忘れなどが出やすいため、特に慎重な調整が必要です。当院では必要最小限にとどめ、生活習慣の見直しや認知行動療法と組み合わせて、できるだけ薬に頼らない形を目指します。自己判断での増量・中断は避けてください。
睡眠薬をやめたいのですが、どうすればいいですか?
急にやめると一時的に眠れなくなる(反跳性不眠)ことがあるため、医師と相談しながら少しずつ減らすのが安全です。当院ではCBT-I(不眠症の認知行動療法)などを併用しながら、無理のない減薬・卒業をサポートします。
CBT-I(不眠症の認知行動療法)とはどんな治療ですか?
薬に頼らず、睡眠習慣や睡眠に対する考え方を整えることで「眠る力」を回復していく、不眠症に対する認知行動療法です。刺激コントロールや睡眠時間の見直しを通じて、根本的な改善と再発予防を目指します。高齢の方にも取り入れやすい方法です。
夜中に何度も目が覚めてしまいます。改善できますか?
中途覚醒は高齢期にもっとも増えやすいタイプです。夜間頻尿、体の痛み、アルコール、睡眠時無呼吸などが背景にあることも多く、原因に応じて対策が変わります。生活習慣の見直しで改善することも多いため、まずは原因の整理から始めましょう。
認知症と不眠は関係がありますか?
関係があります。アルツハイマー病などでは睡眠リズムの乱れが起こりやすく、逆に慢性的な睡眠不足が認知機能の低下と関連することも指摘されています。気になる場合は、睡眠と認知機能の両面から相談できる医療機関の受診をおすすめします。
昼寝はしないほうがいいですか?
短い昼寝は日中の眠気対策に有効です。ただし長すぎたり夕方以降にとったりすると、夜の寝つきを妨げます。15〜30分・15時までを目安にすると、夜の睡眠を邪魔しにくくなります。
本人が受診を嫌がります。家族はどうすればいいですか?
「眠れないのはつらいね」とまず気持ちに寄り添い、「原因を整理するために一度だけ相談してみよう」と提案するのがおすすめです。当院は夜間・土日も診療しており、ご家族の付き添い受診も歓迎しています。服薬状況や経過を伝えていただけると診療に役立ちます。
予約はどうすればよいですか?当日でも受診できますか?
ご予約はWeb予約で承っています。当日の初診受付にも対応しています。来院予約フォームからお申し込みください。
通院していることを家族や周囲に知られませんか?
ご本人の同意なく受診の事実が周囲に伝わることはありません。プライバシーに配慮して診療を行っています。

Supervised by — 理事長

田中 遥(たなか はるか)

医療法人社団ベスリ会 ベスリクリニック 理事長/専門:心療内科・睡眠障害内科

「環境・身体・認知」の観点から状態を分解し、診断書の発行だけでなく、再発しない形で社会に復帰し、自立して働ける未来を目指す診療を行っています。高齢期の不眠についても、薬に頼りきらない選択肢をご提案します。

17,000+

働く人の心の
診療実績

5,000+

TMS治療
(薬に頼らないうつ治療)

約20冊

著書・
監修書籍

20件+

メディア出演
・掲載・講演

Better Sleep, Better Life

その不眠、「年のせい」
で終わらせないために。

眠れない夜を我慢し続ける必要はありません。原因を一緒に整理し、薬に頼りすぎない形で「眠る力」を取り戻しましょう。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の診断・治療を保証するものではありません。症状には個人差があり、効果を確約するものではありません。服用中の薬の調整は自己判断せず、必ず医師にご相談ください。強い気分の落ち込みや体調の急変がある場合は、早めに医療機関を受診してください。