薬を飲みたくない!心療内科で薬に頼らない治療は可能?

治療に薬は必要?

米国では、抗うつ薬はプラセボと3か月後の効果が変わらないという報告以来、抗うつ薬以外の治療が注目されています。

当院には、できるだけお薬を使いたくない、お薬には抵抗がある、お薬の影響で仕事に支障がでては困る、これ以上お薬を増やしたくない、妊活中なの控えたい、など薬を飲みたくない様々な理由で受診をされる方が多くいらっしゃいます。

当院ではお薬を使用するかどうかは、患者様の気質、発病状況、お困りの症状から検討しています。

一般的に精神疾患の病態には、脳科学的要因と心理的要因、社会的要因の3つが関与しています。

上記の図のように、脳内の神経伝達系のバランスが崩れなどの脳科学的要因の場合は薬物の使用、トラウマやPTSDなどの心理的要因にはカウンセリング、社会的要因には社会復帰のためのリハビリが必要です。
薬物療法は幻覚・妄想・不穏・興奮・抑うつ・躁・焦燥・不安・緊張・強迫・不眠などの症状を緩和させることが第一の目的です。
例えば、統合失調症や双極性感情障害の患者様は、脳内の神経伝達系のバランスが崩れているため、脳内環境を整えるために薬剤を使用します。また、不安障害やパニック障害などは扁桃体の過剰活動が原因です。抗不安薬であるベンゾジアゼピン系や抗うつ薬であるSSRIは、扁桃体を安定させる作用で症状を抑えます。
日常生活を送れないほどの症状や眠れない状態が続いているような時は、つらい症状を和らげるために薬を使用したほうが良いと思います。
薬を使わずに治療できることが一番ですが、薬物治療への抵抗から診療が遅れ、症状が悪化することで、さらに時間がかかってしまう可能性があります。
薬を使うことがご心配な場合は、まず医師にご自身の症状やその程度、どのような治療法で改善できるか相談してみましょう。

薬物療法のメリット・デメリットは?

向精神薬は抗うつ薬や抗不安薬、睡眠導入剤(睡眠薬)など精神科で使うお薬の総称です。

以下に薬の種類と効果・副作用をまとめました。

薬剤の役割は症状の緩和が主で、対症療法であることが多いです。効果は個人差もあります抑うつや不眠になった原因については、生活改善指導やカウンセリングで根本原因の改善を図っていくことになります。

薬が効きにくい疾患とは?

新型うつ病(非定型うつ病)

新型うつ病は薬が効きにくいといわれており、大きく分けて栄養障害タイプとパーソナリティ障害タイプに分かれます。栄養障害タイプの場合は生活習慣・食生活の改善が必要であり、パーソナリティ障害の場合は性質を治療していく必要があります。

 精神分析的な精神療法、カウンセリングが有効といわれています。

摂食障害

摂食障害の発症の原因は、生物的(脳の機能など)要因・心理的要因・社会的要因が複合していると考えられています。近年では遺伝的要因も報告されています。

 摂食障害によって起こっている身体症状については薬剤を使用しますが、心理的な問題を解決するには、カウンセリングが有効です。また、食事や栄養についての指導も必要な場合があります

パーソナリティー障害

数種類の型があります。いずれも生まれつきの気質・遺伝的要因・生育環境・家族との関 わり方・社会的要因(時代背景・社会の状況や価値観・社会生活における経験など)が要因となっているといわれています。どの障害のタイプか、どんな症状にお困りなのかを確認し、抗うつ剤や気分安定薬を使用することもありますが薬剤は効きにくいといわれています。

双極性感情障害Ⅱ型

双極性障害の薬物治療は躁状態やうつ状態を改善させるため、不可欠なものとなっており ます。現在気分安定薬と抗精神病薬が用いられています。この薬は症状の改善だけでなく、再発予防にも有効な薬といわれています。しかしながら、この病気は放置したり、自己判断で内服を中止してしまうと再発を繰り返してしまうため、注意が必要です。

発達障害(ADHD(注意欠如多動性障害)・ASD(自閉症スペクトラム症)・LD(学習障害))

発達障害は上記の3つに分類されます。原因ははっきりわかっていません。これらに併存 する障害の多くに対する主な治療は「療育」と「生活環境の調整」です。しかしてんかん 発作がある場合には薬物を使用しコントロールをします。睡眠障害、不注意や多動性、衝 動性、自傷行為、興奮、攻撃性などで日常生活に支障をきたしている場合には薬物療法が 検討される場合があります。ADHDに関しては現在4種の薬剤(コンサータ、ストラテラ、ビバンセ、インチュニブ)が使用されていますが、効果に個人差があります。

発達障害グレーゾーン

発達障害グレーゾーンは、どこからどこまでが障害で、どこから健常者かはっきりした線引きができないグラデーション状です。症状の出方も様々なのでグレーゾーンという表現になっています。

失敗経験が重なって自己肯定感が下がったり、人並みに出来ることが少ないことによるストレスで二次障害を引き起こしてつらい思いをする場合があります。このような二次障害には薬剤が有効な場合があります

現代型産後うつ病育児ストレス

産後すぐに発症するケースから、産後1〜2年経過してから発症するケースまで発症時期は様々です。以前は産後数か月以内に発症し、抗うつ剤が効果を示していました。

 現代では貧血や鉄不足によるケースが増え、抗うつ剤が効かない場合もあります

       ご注意)

*なお当院では、摂食障害、パーソナリティ障害等一部の疾患につきましては、入院の必要性や専門性の違いなどにより当院では治療が難しい場合がございます。

心療内科で薬を飲みたくない場合の治療法とは?

1.認知行動療法

認知行動療法とは、「現実の受け取り方」や「ものの見方」などの認知に働きかけてより落ち着いた気持ちで生活できるよう考え方や行動を工夫するカウンセリングの方法です。認知には、なにか出来事があった時に瞬間的に浮かんでくる考えやイメージがあり、それを自動思考といいます。自動思考が生まれるとそれによって、いろいろ気持ちが動いたり行動が起こります。

   

認知行動療法は、自分の考えや行動を丁寧に振り返り、つらくなったときに頭に浮かんだ考えやイメージに注目して、バランスの良い考え方に変えるトレーニングです。

2.漢方薬による治療

些細なことで不安になったり、イライラしたり、くよくよして後悔してしまう、一度気になったことが頭から離れない、など誰もが経験するような「神経症」や心理社会的ストレスにより、身体の機能的障害を伴う「心身症」に漢方薬は有効です。例えば、普段から緊張が強く、頭痛がよくある、汗をかきやすい、動悸がする、お腹が痛くなりやすい、緊張が解けず寝つきがよくないといった症状などです。

 ご自分の症状と体質に合わせて処方してもらう必要があります。

漢方薬は自然のものからできたお薬ですが、薬効がある以上、副作用が出現することもあります。

効果も千差万別ですので、医師と相談しながら、ご自分にあった漢方薬をみつけましょう。

当院で漢方薬の処方を行っています。お気軽にご相談ください。

3.サプリメントなどの生活療法

医師が血液データから栄養素の過不足状態を把握し、一人一人に適切なサプリメントの組み合わせをご紹介するというもので、「自分に必要な栄養素をきちんと知る」ことが目的の外来です。

自分に最適なサプリメントで栄養素を補い、薬ではなくその栄養素の働きを最大限に活用することにより、人間が本来持っている自然治癒力を最大限に発揮して最良の健康状態を手にするものです。

当院では、独自に開発したうつに効くサプリメント「MIND UP(マインドアップ)」や「さつまの力」を販売しております。

 ベスリクリニックが開発した「MIND UP(マインドアップ)」は、脳の神経伝達物質の原料(必須アミノ酸の1つであるフェニルアラニン)を補充し抑うつ状態の方がよく摂取されています。また「さつまの力」は抗炎症作用を期待し、過敏性腸症候群などの消化管炎症やコロナ感染症後遺症などの体の炎症からくる抑うつや慢性疲労感の方が摂取されています。

      https://besliselect.com/shopping/lp.php?p=mindup

 その他、人間が本来もっている機能を意識し、生活習慣を改善し安定したメンタルで過ごせるよう指導する「セロトニンセラピー」や「睡眠外来」を行っております。

4.TMS治療

TMS(Transcranial Magnetic Stimulation:経頭蓋磁気刺激法)は、うつ症状や脳の機能低下に大きく関わる背外側前頭前野を含む前頭葉を「磁気刺激」によりケアする治療です。

脳細胞を刺激することで、うつ病の種々の症状(脳の機能低下による症状)を軽快する、エビデンスに基づいた新しい治療法です。

磁気で脳細胞を刺激し脳の血流を整え、脳の神経伝達ネットワークを調整することで以下の効果が期待できます。

・集中力や思考、意欲が向上する。

・扁桃体の過活動を抑制し、過度な不安感や恐怖を緩和します。

このような方にTMS治療はおススメです。

・向精神薬を飲むことに抵抗がある。

・薬を飲んでいるが、なかなか治らない。

・できる限り早く治したい。

・薬の副作用が強く、継続できない。

・副作用により運転などの仕事に影響がでやすい。

・副作用による性機能障害に悩んでいる。

・授乳中、あるいは妊娠を考えている女性。

・断薬、減薬をご希望の方。

当院で、TMS治療を実施しております。お気軽にご相談ください。

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心療内科の治療で薬を飲みたくない場合の注意点とは?

精神科の薬剤療法に対する患者様の抵抗は根強くあり、副作用に対する懸念がありますが、症状によっては薬剤が不可欠な場合もあります。

内科や外科の病気と違って目に見える病状や検査データに現れるものではないため、患者様はイメージをつけにくいかと思います。しかしながら、有効な治療ですので、選択肢として必要だと思われます。

医師とよく相談し、ご自身の症状にあった納得できる治療法をみつけていくようにしましょう。

薬を飲みたくないなら、薬物治療以外の心療内科を見つけよう

当院では、お薬による治療のほかに種々のカウンセリングや、TMS治療など治療の選択肢をご提案させていただき、患者様の個別性、ライフスタイルに合わせた治療を実施しております。

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