梅雨が明け、一気に気温が高くなりましたね。今年も暑い日が続きそうです。
今年は新型コロナウイルスの影響で、8月以降もマスクを着用していることで、息苦しさや暑さを感じている方も多くいらっしゃると思います。
厚生労働省も、マスクの着用により例年よりもいっそう熱中症に注意が必要と発表しているように、マスクにより熱中症の危険が高まることが予想されます。
今回は、マスクによる熱中症予防についてお話していきます。
熱中症とは
熱中症は「暑熱環境下においての人間の身体適応の障害によって起こる状態の総称」と定義されています。医学的には、脱水による体温の上昇と、高体温による多臓器不全が熱中症の本質となります。
人間の体は常に熱の産生・吸収と放出を行っています。この機能によって体温を一定に保つことが出来ています。熱の放出は「放射」「蒸発」「対流」「伝導」という4つの機能が備わっていますが、体温の調節が出来なくなると、体温の高い状態が持続し、熱中症を発症します。
つまり、熱の放出が出来ない環境では、水分を摂取していても熱中症になる危険があるということです。
先述した熱の放出方法ですが、気温が35℃を超える場合、「蒸発」以外の機能は著しく低下します。
次に蒸発機能についてお話していきます。
蒸発とは
「蒸発」とは水の気化による冷却を指します。代表的なものが発汗であり、汗が蒸発する際に水分が気化することで熱の放出を行います。
しかし、湿度が75%を超える場合、蒸発の機能は著しく低下し、熱の放出が困難となります。気温が30度以下でも、湿度が高い日に熱中症になるのは蒸発機能が低下する為です。気温35℃以上、湿度75%以上の環境になると、全ての熱放出機能が失われ、熱中症のリスクがとても高くなります。
マスクによって息苦しさや暑さを強く感じますが、マスク内の湿度は100%になると言われており、顔からの蒸発機能は低下し、熱中症のリスクが高まります。
また、冷たい空気を吸い込むことでも体温を下げることが出来ますが、マスクを着用していると、マスク内の暖かい空気しか吸えず、体温の低下が難しくなります。
その一方で、マスクをしていることで喉が保湿され、喉の渇きに気が付きにくくなり、水分摂取量が減ることも報告されています。
また、マスクを着用していると、口腔内の雑菌がマスク内で蒸れることで繁殖し、肌荒れに繋がることもあります。
マスク内の湿気予防対策
熱中症や肌荒れの予防の為に、マスク内の湿気対策をまとめてみました。
・こまめにマスクを外す
屋外でも、人と2メートル以上の距離が確保できる場合は、こまめにマスクを外すようにしましょう
素材を選ぶ
最近は様々な素材のマスクが発売されています。綿素材は、湿気が溜まりにくい為、蒸れにくくなっています。
サイズの合ったマスクを使用する
マスクは大きすぎると効果が低下し、小さすぎると熱や湿気がマスク内に籠ってしまいますの。自分のサイズに合ったマスクを使用してください。
・鼻呼吸を意識する
口の中は唾液で潤っている為、口から息を吐くとマスク内の湿度が高めになります。鼻から息を吐く方が湿度は上がらないので、鼻呼吸を意識してみましょう。
・ガーゼを挟む
マスクの間にガーゼを1枚挟んでみるのも効果的です。ガーゼは湿気を吸収してくれますし、洗濯して繰り返し使うこともできます。何枚か持ち歩いて、湿ってきたら交換すると衛生的です。
・意識的に水分を取る
人間は喉の渇きを感じた時点で、既に軽度の脱水状態だと言われています。脱水状態で水分を摂取すると、吸収の効率が悪い為、意識的にこまめに水分を摂取するようにしましょう。
以上のような方法が予防策になります。
今年も猛暑が続くことが見込まれていますので、withコロナの新しい生活様式の中で、熱中症予防行動を取り入れてみてください。
保健師 工藤優斗