こんにちは。「大人の発達障害」という言葉、お聴きになった方も多いのではないでしょうか。
しかし言葉を知っていてもそれが実際どういうものなのか知っている方は少ないかもしれません。
この記事では
1)「大人の発達障害」とは何なのか
2) 発達障害のように見えたけど実は…?
についてお伝えしていきます。
目次
「大人の発達障害」とは何なのか
そもそも「発達障害」とは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています(発達障害者支援法より)。
そのため大人の発達障害は「低年齢から症状が発現していたが問題にならず、大人になってから診断がつけられるもの」となります。この「低年齢から」というのが重要で、「社会に出てから」「この職場に入ってから」症状が出ている方は、発達障害ではなく別の要因が考えられます。
ベスリクリニックでは「仕事がうまくいかない」という理由で発達障害検査を受ける方が多くいらっしゃいます。
しかし、かなりの方が発達障害ではなく別の要因で困っている方です。
どのようなことが原因なのか、参考になればと思い、2つケースをご紹介致します。
CASE1 勉強はうまくいっていたのに、社会に出てから仕事がうまくいかない
このような方は、言語能力は比較的高いですが、ワーキング・メモリ能力が低い傾向にあります。
ワーキング・メモリ能力とは一時的に情報を脳に保持して処理する能力であり、これが低い方は忘れっぽかったり仕事の処理速度がゆっくりだったりします。
ワーキング・メモリは鍛えることができます。例えば運動と頭を使う作業を行うのは効果があると言われています。
英語の勉強をしながら、通勤をする(音量と通勤手段に気を配りながら)。家事をしながらプレゼンに使うデータ分析の方法を考える、料理など複数の手順を効率的にこなす練習などをするとよいでしょう。
CASE2 「前の職場ではうまくいったのに、今の職場ではうまくいかない」
このような方は能力に差がある場合が多いものです。前の職場では得意な能力が活かせていたが、
今の職場では不得意な能力を使わなければいけなく、例えば、前職は事務職だったが、今の職場では営業と事務もしなければいけない。営業にに必要な能力がやや低くてとても苦戦している、といった具合です。
自分の事務の能力の得意分野・・・例えば、予定を立てて締め切りまでにきっちりこなす能力は得意。一方、営業の時に初めてあう人に緊張してしまうという苦手意識・・・まずは、そのような自覚をすることが重要です。
実は、これが出来ずに、出来ないとと全部できないと認識してしまう人は意外と多いものです。
自身の得意不得意を自覚しながら、例えば、苦手な部分は、得意な先輩のサポートを受ける、先輩のやり方を学んでみるなど、前向きな環境づくりに取り組むとよいでしょう。
まとめ
うまくいかないのは発達障害だからかも?と思っている方は 一度当院の発達障害検査を受けてみませんか?
実は他の要因があり、解決できるかもしれません。
その場合、仕事をする上で大切なスキル・・・例えば、怒りのマネジメント、自己表現法、組織の中での仕事の仕方など、その方の今、この瞬間に苦手な分野に応じたカウンセリング(スキルアップ)を実施しています。
尚、もし発達障害としての治療が必要となった場合は、専門病院の受診をお勧めしております。
臨床心理士 公認心理師 西村有美香