セロトニンの過剰で不安になるのはなぜ?セロトニン症候群の危険も解説
「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニン。
「幸せ」と聞くと、体に良い・たくさんあれば良いと思いますよね。
ところが、体内のセロトニンが多すぎるとあなたに悪影響を及ぼすことがあります。
具体的にどのようなことか、これから一緒にみていきましょう。
セロトニンの過剰で不安になるのはなぜ?
そもそもセロトニンとは何なのでしょうか。
また、セロトニンが過剰になるとどのような症状が出てくるのでしょうか。
そもそもセロトニンとは?
一言でいうと、セロトニンは「気分を安定させるホルモン(神経伝達物質)」です。
ストレスに関係するホルモンとして、ノルアドレナリン・ドーパミン・セロトニン の3つがあります。
主な働きは、以下の通りです。
- 集中力・積極性・緊張・不安をもたらし、活動しやすい状態にしてくれる。
過剰になると、攻撃的・ヒステリー・パニックになりやすくなる。
- 意欲・喜び・快感(辛い状況を乗り越えた時の達成感など)をもたらしてくれる。
過剰になると、快感への欲求が止まらなくなり、過食・買い物やアルコール等の依存になりやすくなる。
- ノルアドレナリンとドーパミンが過剰にならない(暴走しない)ように、コントロールし、心の落ち着きや安定をもたらす。
ストレスに打ち勝つために、ノルアドレナリンとドーパミンが働き、この2つのホルモンを上手く調節してくれるのがセロトニンの役割と言えます。
セロトニンの過剰による注意すべき症状
セロトニンが過剰になると、不安・錯乱・発汗・心拍数の増加・発熱・体の震え・筋肉のけいれん・吐き気・頭痛・昏睡など、様々な症状が出てきます。
いわゆる「セロトニン症候群」と呼ばれるものです。
命に関わる症状もあるため、セロトニンによる副作用について知識をもっておくと良いでしょう。
神経伝達物質のバランスが大事
ここまでセロトニンについてみてきましたが、「幸せホルモン」だから多ければ良いというわけではなさそうですね。
ストレスによるあなたの心身のダメージを減らすには、それぞれのホルモン(神経伝達物質)のバランスが大事になります。
また、少しでも症状が現れた場合は、お薬手帳など投薬がわかるものを持って医師に相談することが大切です。
【セロトニン過剰による不安】セロトニン症候群とは?
ここからは、先ほど出てきた「セロトニン症候群」について詳しくみていきましょう。
セロトニン症候群とは?
セロトニン症候群とは、抗うつ薬をはじめとする、セロトニンに関係する作用を持つ薬を服用した際におこる可能性のある副作用です。
不安・せん妄・高体温・筋肉のけいれんなどが症状としてあげられます。
通常は、薬によって脳のセロトニン受容体への刺激が増加することで起こります。
具体的には、治療目的での薬の使用・一部の薬の過剰摂取・セロトニン受容体を刺激する薬を2つ同時に服用した際の意図しない薬物相互作用があります。
セロトニン症候群の症状
ほとんどの場合、薬の用量変更または開始から24時間以内に現れ、通常6時間以内に起こります。
以下のように、様々な症状があります。
- 精神状態の変化:不安、興奮および不穏、驚きやすさ、せん妄
- 自律神経の活動亢進:頻脈、高血圧、高体温、発汗、シバリング、嘔吐、下痢
- 神経筋の活動亢進:振戦、筋緊張亢進または筋硬直、ミオクローヌス、反射亢進、クローヌス(眼球クローヌスを含む)、伸展性足底反応
※神経筋の活動亢進は、手や腕よりも足において顕著なことがあります。
症状は通常24時間以内に消失しますが、薬の種類によっては症状がより長く続く場合があります。
セロトニン症候群を早期発見するポイント
薬の飲み始めや内服量が増え始めた頃に、急に精神的に落ち着かなくなったり、体が震えてきたり、汗が出てきて脈が早くなる等の症状が見られた場合は、セロトニン症候群を疑うことが必要です。
セロトニン症候群の原因薬剤は、抗うつ薬が最も多く、特に SSRI と呼ばれる、セロトニンの再吸収に作用し、セロトニンの働きも改善する薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミ ン、パロキセチン、セルトラリン))で起きることがほとんどです。
特に、抗うつ薬を複数内服している人や他の薬と同時に内服している人に起きやすいため注意が必要です。
セロトニン症候群は、重症の場合、命の危険があります。
そのためにも早期発見が大切で、知識をもっておくことや多剤投与時に注意することが必要となります。
セロトニン症候群を引き起こす可能性のある薬剤
セロトニン受容体を刺激する薬剤はすべて原因薬剤となりえます。
代表的なものは、以下の通りです。
- SSRI(フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンなど)
- 三環系抗うつ薬(クロミ プラミン、イミプラミン、アミトリプチリンなど)
単剤より多剤投与時の方が、セロトニン症候群の発現が圧倒的に多いと言われています。
また、SSRI や三環系抗うつ薬との併用に注意が必要な薬は以下の通りです。
- パ-キンソン病や難治性うつ病の治療に用いられるMAO 阻害薬(セレギニン)
- 気分安定薬(炭酸リチウム)
- 鎮痛薬(ペチジン、ペンタゾシン、トラマドールなど)
- 鎮咳薬(デキストロメトルファン)
その他、注意の必要な薬は以下の通りです。
- タンドスピロン(抗不安薬)
セロトニン症候群の診断方法
診断は、医師による症状の評価、身体所見(特に神経系の所見)、セロトニン受容体に影響を及ぼす薬の使用歴のみに基づいて行います。
診断を確定するための検査はありません。
しかし、高熱や同様の症状が現れる他の病気を除外したり、合併症を特定したりするために、血液や尿の検査が必要になる場合があります。
セロトニン症候群の治療方法
治療方法は、主に3つあります。
セロトニン症候群の70%は24時間以内に改善すると言われています。
自己判断で中止すると、かえって危険な場合もあるため、必ず医師に相談しましょう。
セロトニンの働きを抑えます。
重症な場合は、集中治療室への入院が必要になります。
(高体温に対して体温冷却装置使用、呼吸循環管理など)
セロトニン過剰は不安になることがあるのでバランスが大切
セロトニンは精神を安定させるために必要ですが、薬の内服で過剰になるとあなたの体に悪い影響を及ぼします。
精神科や心療内科で処方された抗うつ薬を飲んだら、不安が強まったり、体の症状が出てきた等の症状でお困りでしたら、薬に頼らない治療法に力を入れている当院(ベスリクリニック)に来院してみてはいかがでしょうか。
当院では、セロトニントレーニングというカウンセリングを実施しております。
生活リズムの見直し等を行うことで薬をつかわず体内のセロトニンを程よく増やすことを目指します。
薬を飲むきっかけとなった精神的な原因に対して、再発予防も考慮した多彩なカウンセリングや漢方、鍼灸など東洋医学を用いて体質改善をしたりしています。
そして、できる限り減薬・断薬を目指します。一緒にセロトニンのバランスを調整し、不安や体の症状を和らげてみませんか。