「いつか」妊娠したい、今に集中するビジネスウーマンのためのピル

不妊治療の現場にいた経験から、「いつか妊娠したい」と思われている方にはピルをおすすめする情報を伝えることもあります。

「ピルを飲んでいたことが、妊娠がスムーズにできることにつながった」というエビデンスは研究計画がしづらく、エビデンスとして形に出ているものはいまのところ見たことがないため、他の産婦人科の先生方とピルと不妊について討議した内容です。「ふーん、そういうふうに考える先生もいるのね」くらいに読み流していただければ幸いです。

不妊症の患者さんは意外と多いです。クラスの数名が不妊治療の末に生まれた子どもであり、不妊治療に病院に通うというのが、タブーなような、恥ずかしいような感覚がある患者様も少なくはありませんでしたが、診断書を提出することで職場として不妊治療を応援してくれるような会社も最近になってやっと増えてきました。

不妊症の患者さんの多くは「加齢」による卵巣年齢の低下により起こるものです。女性の不妊症の原因は卵子の質、卵子の数、卵管・子宮・頸管因子等いろいろなものが不妊症の原因となっています。(忘れちゃいけないのは、男性不妊です。不妊の原因の半分は男性です。不妊治療の際は必ず精液検査を行いましょう。)


ピルは卵子の質をサポートしてくれる可能性があります。特に、「急性ストレス」に対し、効果が考えられます。

ピルは排卵を抑制します。排卵は例えていうならニキビがつぶれるときに似ています。ニキビがぶちゅっとつぶれる前は腫れて痛くなる経験がある方もいるのではないでしょうか。

排卵による炎症の急性ストレスを防ぐことにより、卵子の質の低下を防げる可能性があります。

では、卵子の数は?一般の方の中には「一ヶ月に1個排卵を防いでくれるなら、1年で12-13個守れるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら「卵子は1日約30個なくなる」のです。赤ちゃんの卵になるには、120日前から卵子は活動を始めます。実際にホルモンが関係してくるのは、最後の1ヶ月程度しかなく、セレクションがかけられ、多くの卵子の中から生き残った卵が、赤ちゃんの卵となるのです。卵子の数を知る「AMH」という検査項目がありますが、その値はピルを飲んでいる人も飲んでいない人も同じくらい。ピルを飲んでいたとしても、閉経の時期は変わりません。つまり、卵子の数の減少はピルは止められません。

※BESLI CLINICは不妊治療機関ではないため、不妊治療やAMH等の測定は行っておりません。

そして、「その他の因子」、子宮内膜症の治療に低用量ピルは使われることもあります。

子宮内膜症は2次的に不妊症の原因になることがあります。

①性交障害:性交痛がある(子宮内膜以外の原因として膣の入り口のところが狭い(膣狭窄・処女膜閉鎖などの場合もありますが)、②排卵障害(組織が硬くなり、未破裂卵胞になる)、③卵管へ入りにくい(卵管采でキャッチしにくい)④卵子の質の低下(サイトカイン等のストレス)、⑤着床障害(受精卵が子宮内膜に着床しにくい)などが考えられます。

「いつか妊娠がしたい」と思っている方こそ、低用量ピルにより「妊娠したい」と思ったいつか、にすぐ妊活を始められるよう身体作りを始めてはいかがでしょうか