「睡眠負債にみる睡眠不足の危険性と睡眠の大切さ」を寄稿しました

この時期になると睡眠障害で悩む方が多くなります。睡眠に影響する、日の光、体温調整など、身体に影響する因子の変化があることも一因です。

最近「睡眠負債」という言葉も聞かれるようになりました。

今回 ジェニーさんの企画で、睡眠の大切をお話する機会がありました。当院で、保健師で、睡眠外来を担当している長田梨那が、寄稿しました。
内容は以下の5つです。

1 休息だけじゃない。睡眠が身体にもたらす恩恵
2 睡眠不足の蓄積によって生まれる「睡眠負債」の方程式とは
3 睡眠負債がもたらす悲劇の直前に出される危険信号「マイクロスリープ」
4 身体からのサインを見逃さないことが大切
5 睡眠負債対策は「自分にとって適切な睡眠時間を把握すること」から

参考ページ

https://jennie.biz/health/684/

休息だけじゃない。睡眠が身体にもたらす恩恵

睡眠とは、休息をとるだけでなく、「免疫機能の向上」「記憶の強化」「エネルギーの維持」「健康な精神機能の維持」などの役割を担っています。睡眠不足になると本来の免疫機能が低下し、体調不良におちいったり、がんや心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病を発症したりするリスクが高まるともいわれています。睡眠は生活習慣のひとつなので「生活習慣病」とも深く関わっていうということになりますね。

睡眠不足の蓄積によって生まれる「睡眠負債」の方程式とは

睡眠不足がもたらすリスクを表現した「睡眠負債」。眠らないことで心身に負担が蓄積されていくイメージですが、実際のところ、どんな状態をいうのでしょうか? 睡眠負債をわかりやすく説明すると、以下のようになります。

「本来健康な状態を維持するのに必要な睡眠」-「実際に眠った時間」=睡眠負債

実際には個人差が大きいため、検査や具体的数値で示すことは難しいのですが、自身の感覚を研ぎ澄ませて「自覚症状」を大切にすることで、ある程度の見当をつけることはできます。目安となる自覚症状を5つ挙げるとこのようになります。

目安となる自覚症状
寝つきがよい(すぐに眠れる)
睡眠途中で起きない
朝早くに目が覚めすぎない
朝すっきり起きられる
日中、強い眠気がない

上記5つに問題がないようであれば、おおむね睡眠が良い状態ということになります。「私は7時間睡眠だ」「僕は5時間で十分だ」など、快適さを感じる睡眠時間は人それぞれ。この感覚で得ている睡眠を必要睡眠としてもよいでしょう。

反対に「眠い」「もっと寝たい」という心のサインがないかということに日々注目し、その時に自分の必要睡眠時間との差がなかったかどうか、考えてみましょう。

休日に長く寝て体調を回復させている人もいますが、それは日頃の睡眠不足を補っているだけ。睡眠負債は「まとめ睡眠」で返済できるという説もありますが、一気に睡眠負債を返済しようと休日に夕方まで寝てしまうと、それまでの生活リズムが乱れ、かえって翌週に良い睡眠が取りづらくなってしまって逆効果です。借金と同じように「睡眠負債はためない」ことを覚えておきましょう。

睡眠負債がもたらす悲劇の直前に出される危険信号「マイクロスリープ」

睡眠負債の状態が続くと、身体は脳を強制的に休ませようとします。夜遅くまで作業をしていて、いつのまにか寝落ちしてしまっていた…という経験はありませんか?

本人は自覚していない数秒の間にカクッと寝落ちしてしまう反応。このような寝落ちした状態が「マイクロスリープ」。睡眠負債がかなりの量まで溜まってしまっていますよ、というサインだと長田さんは語ります。

「マイクロスリープは、“脳が強制的に休まなければならなくなった状態”で、睡眠負債の蓄積が原因で起きるとされています。“睡眠時間をしっかりと確保できるよう生活を整えなさいというサイン”だと思ってください。

一度このような状態になってしまったら数日で復活するのは困難。それを防ぐためには、日頃から良い睡眠をとっている状態で“睡眠負債のない状態”をキープすることが大切です」。

身体からのサインを見逃さないことが大切

私たちの身体は、睡眠不足が多少続いていても、その後に十分な睡眠をとることでリセットできるような柔軟性を持っています。その一方で、長年の生活習慣(睡眠不足など)の蓄積によって睡眠負債の状態になってしまうと、休日に一日寝たくらいでは改善されないという研究もあります。

平日の睡眠不足は休日に睡眠をたっぷりと取ることで解消できるかもしれませんが、それでは本質的な解決にはなりません。まずは自分の睡眠の状態を客観視し、「マイクロスリープ」や「日中の強い眠気」といったサインを見逃さないようにすることが大切。そのうえで良い睡眠を取るための習慣を取り入れた生活を心がけていれば、睡眠負債の状態を脱出することができます。

睡眠負債対策は「自分にとって適切な睡眠時間を把握すること」から

数時間の睡眠不足が、やがて大きな病気の引き金にまで発展してしまう睡眠負債。最後に、そうならないようにするためのアドバイスを長田さんからいただきました。

「まずは自分にとって適切な睡眠時間を把握し、その時間を眠れるよう心がけることから始めましょう。適切な睡眠時間の目安は“昼間、眠気に襲われずやるべき作業がしっかり行える”ということ。ただし睡眠時間にこだわり過ぎるのもよくありません。

脳を普段よりも使った日は、そのぶんだけ少し長い睡眠を必要とするもの。いつもより早い時間に睡魔がきたり、目覚めが遅かったりするなど、必要な睡眠時間は日々の活動状況によって変化するからです。こうした日々の変動は常にあるものと考えつつ、上で挙げた“自覚症状”や睡眠時間の目安を参考に、だいたいどのくらいの睡眠時間を取れば十分なのかを知っておきましょう。

良い睡眠が取れていると、“午前中から仕事がはかどる”“小さなことにいらいらしない”というような変化もみられてきます。良い睡眠を取ることで今の健康を維持するだけでなく、今後の人生がより豊かになることを願っています」。