優秀なのに自分に自信が持てない… インポスター症候群とその治療とは?

しっかりとした実績や実力があるにもかかわらず、なかなか自信が持てない。 このような不安や悩みをもち、頑張っても頑張ってもいつも安心できず疲れてしまいがちな人は実は背景に「インポスター症候群」が隠れているかもしれません。

インポスター症候群の悩み
□自分の能力に自信が持てない

□自分の成功よりも失敗、足りなさに目がいく

□プライベートでも仕事のことを考えてしまう

  インポスター症候群の人は優秀な人が多いですが、自分のことを振り返る余裕もなく、周りの期待へ応えようと前へ前へ進もうと努力され続けるかたが多いです。

もしも、その努力に疲れ始めてしまったら専門家の診察やセッションを受けてみることが一つの解決策につながるかもしれません。

インポスター症候群とは?

インポスター症候群とは、「客観的に成功している事実があるのに、自分に自信がもてない」と感じてしまう心理の特性をいいます。 「疲れているのに努力を続けないとダメになってしまいそう…」「本当の自分を知られたら失望されるかもしれない…と自信が持てない。

頑張っているのにいつまでも安心して休めない、成功したことによりさらに心理的負担が大きくなり追いかけられているような気持ちになってしまう人もいます。

インポスター症候群の人の中には、自分で自分を追い詰め、いつのまにかうつ病や不安障害など心療内科や精神科の病気につながってしまう人もいます。

インポスター症候群セルフチェックリスト

インポスター症候群の人はいつも頑張る謙虚な人が多いです。

下記の特徴を持つ人はインポスター症候群の可能性があるかもしれません。

インポスター症候群 セルフチェックリスト
□自分の意見ではなく場の空気を優先しがち
□真面目といわれる

□自分が考えていることの共有が苦手
□「期待以上」の結果をだしたい
□リーダーの役割を早くから期待される

□相手からの期待を感じる
□成功よりも足りなかった部分に目がいく


周りからの期待が高いため、自分の悩みを相談しづらい、自分が安心して過ごせる場所や時間を持ちづらい
人が多いことも特徴の一つです。

インポスター症候群は診断できるの?

インポスター症候群 (impostor syndrome)impostorはなりすまし、詐欺師という意味で「本当の自分以上に能力や実力があるかのように、周りの人をだましている」という感覚に陥り、ネガティブ思考になったり、自己肯定感が低い状態をさします。

インポスター症候群は病気や病名ではなく、アメリカの心理学者 Pailine Rose ClanceとSuzannne Imesが提言した心理傾向や気質です。

そのため、当院では「インポスター症候群」という診断は行っておりません。

インポスター症候群とうつや心の病気の関係

人によっては「インポスター症候群」の気質が知らぬまに心身の負荷となり、不眠、肩こり、頭痛、疲労感、ホルモントラブル、キャリアやライフプランへの悩み、落ち込み、感情の不安定さにつながることがあり、仕事や生活に支障が出る場合があります。

当院では、「インポスター症候群」の気質から生じた心身の負荷へのケア、「インポスター症候群」の気質に対するカウンセリングを行っています。

頑張っても頑張ってもなんだか生きづらいビジネスパーソンが、自信をもって楽しく人生を歩めるようにサポートできる医療を目指しています。

インポスター症候群は心療内科や精神科に受診したほうが良いの?

下記のような症状が出ている時にはインポスター症候群」の気質から生きづらさを感じ心身の疲労が蓄積している可能性があります。

インポスター症候群 受診チェックリスト
□「期待以上」の結果をださないと意味がない
□周りの幸せな報告に喜べない
□本来の自分がわからなくなり、窮屈に感じる
□常に仕事のことを考えてしまう
□生理前にイライラしたり、涙が出る
□感情をうまくコントロールできず爆発する
□肩こりや頭痛、倦怠感などを感じる
□夜うまく眠れなくなってきた

専門家の診察やセッションを受けてみることは、「インポスター症候群」の気質を自分自身でコントロールできる糸口につながるかもしれません。

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当院での対応法

当院では、インポスター症候群の生きづらさの原因として、①心理学的要素(Psychological)、②社会的要素(Social)、③生物学的要素(Biological)に分解して各々アプローチをしていきます。

①心理学的要素(Psychological)

こころカウンセリング:「インポスター症候群の気質に合わせたカウンセリング」

②社会的要素(Social)

ビジネストレーニング:「どのように上司・部下関係を作るか、どのように仕事の成果を定義するか」

③生物学的要素(Biological)

睡眠トレーニング:「薬に頼らず自分で睡眠のコツを実行できる」

女性ホルモン外来:「生理前や周期で心身の波の安定を目指す」

薬物療法:「頭痛薬や吐き気止めなど西洋薬、漢方薬」

などのアプローチにより「インポスター症候群」のケアをトータルで行っていきます。

インポスター症候群を克服するこころカウンセリング

こころカウンセリング

当院ではインポスター症候群に対し隔週火曜日の夜にカウンセリングを行っています。

NYでビジネスパーソンのカウンセリングを行っていた女性のカウンセラーが対応します。

インポスター症候群の方は自分のために時間をとって自身の気質を振り返ることが苦手な人が多い印象です。

インポスター症候群のカウンセリングは、クライアント自身が気持ちや考えを整理し自ら答えを見つけ出していけるようにサポートをする心理療法です。

「治療者が答えを指し示す」ことはカウンセリングではなく、クライアント自身がクライアント自身と向き合うサポートをすることが「インポスター症候群のカウンセリング」なのです。

こころ外来ではこころの専門家としての 視点から指導やアドバイスをすることはありますが、あなたの人生に必要な方法を明確に指し示すものではありません。

時に、カウンセリングで何をしてくれますか?という質問をいただくことがありますが、何かの方法を教授することですぐに克服しているのであれば、本や自分で克服しようとする努力の中ですでに解決されているでしょう。

「インポスター症候群」は気質であり、カウンセリングは「うける」のではなく「する」、カウンセリングとして「ともに場を作っていく」心のありようで来談するほうが、利益になると考えております。

インポスター症候群の症例

①3ヶ月前に最年少で中間管理職に昇進したAさ

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インポスター症候群の原因 ~なぜ自己肯定感が低くなるの~

インポスター症候群の原因として、大きく3つの要素があると考えられます。


①心理学的要素(Psychological)
②社会的要素(Social)
③生物学的要素(Biological)



インポスター症候群は、「自分軸が不安定で周りの人からの評価に敏感」、「変化や失敗が怖い」という心理学的特性があります。


周囲からの評価が変わることにより「誰かから嫌われてしまうのではないか」などといった不安や、恐怖感にかられます。




スキルアップやキャリアアップ、理想のライフプラン、転職など成長、成功の評価がより求められる社会や働き方になりました。SNSの発展により周りの人と比較をする機会が増えたこと、価値観を形成するもとになる暮らし方の変化も挙げられます。

また、周りの人からの評価が気になり、仕事などに打ち込む傾向があり、「自分の弱みを相談できる人間関係が少なくなる」傾向や、任される仕事の責任が大きく、「気軽に相談したり、愚痴をこぼしたりできる人間関係が少ない」傾向もあります。

だんだんと「本来の自分」を素直に出せる時間が少なくなり、「本来の自分と期待されている自分と乖離」がおこり、「本当の自分ではなく、周りの人をだましてしまっている」と緊張状態が続いたり、不安になることもあります。


インポスター症候群の心理状態にも波があります。 うまく眠れなくなったり、緊張状態が常に続き息抜きがうまく取れなくなったり、女性であれば生理前になりホルモン状態が変化することにより、インポスター症候群の傾向が強くなることがあります。

とくにインポスター症候群の場合、自分でも気づかない内に無理を重ねてしまうことがあり 知らぬ間に身体のバランスが崩れ、心理的に不安定になることもあります。
頑張りたいし、頑張れるはずなのに、押しつぶされそうな不安に突如おそわれる、なにもないのに泣き出したくなったり、大事な仕事のはずなのになぜか手が出ない、メールがなんだか打てない。

なぜかわからないけれど、突然心の波がおきて調子を崩してしまう方は身体のバランスを安定させる整え方を実行できるようになるのが良いかもしれません。

優秀な人がなりやすいインポスター症候群の特徴とは?

「インポスター症候群」の特徴として3つの特徴があります。

①自分の努力や能力に自信が持てない(自己肯定感が低い)

②仕事の基準が他の人より高い(完璧主義)

③他者からの批判をされるのが怖い(自分軸ではなく他人軸になる)

努力や能力に対して周りからは評価されるものの、自分に自信が持てず周りの人の意見や評価が軸になり気持ちが左右されてしまう状態です。

女性と男性におけるインポスター症候群

インポスター症候群の男女比は男性に比べて女性に多いといわれています。

男性ホルモンのテストステロン効果で男性は自分に自信を持ちやすいという生物学的要素や、「女性は男性より散歩下がって歩くべし」、「女性は女性らしく控え目でおしとやかに」、男性を支える女性の役割を求められる社会的要素など、生物学的要素、社会文化的要素として女性のほうが影響を受けやすい可能性はあります。

ただ、クリニックに受診をされる方をみると男性でも女性と同様、それ以上に強く悩まれて受診をされる方もいます。

統計と個別の悩みの深さは別で、一人一人おかれた環境や事情が異なりますので男性だからインポスター症候群ではないというわけではありません。

インポスター症候群とサンドイッチ症候群
~「管理職症候群」や「マネージャーシンドローム」~

インポスター症候群の気質を強く持つ人は、評価や昇進を起点として心身のバランスを崩す人が多いです。

当院へご相談に来るパターンで多いのは、

①キャリアプランの転換期:昇進(サンドイッチ症候群)

インポスター症候群の人は上司と部下の間に挟まれて身動きが取れなくなる状態になる「サンドイッチ症候群」で悩む人が多いです。

上司、部下から嫌われたり、評価されることが苦手であり、空気を読んで自分で仕事を抱え込んでしまったりして元々仕事がよくできて昇進したにもかかわらず、管理職として仕事の采配ができず仕事がうまくできなくなってしまいます。

「サンドイッチ症候群」は「管理職症候群」や「マネージャーシンドローム」と言われることもあります。

人間関係によるストレスが蓄積し、睡眠に不調がでたり、生理前にイライラが爆発したり、悲しくなったりと心身に不調をきたすだけでなく、仕事にも影響がでて負のスパイラルに陥ります。

②ライフプランの転換期(結婚・妊娠・出産・介護など)

キャリアプランと結婚、妊活、妊娠、出産などライフプランの「成功」の両立をしようとすることにより、うまくいかないことにストレスを感じ不調になる場合もあります。

自分だけでコントロールできない、パートナーとの生活や、受診の頻度や時間、子供のお迎えや病気の看病、介護などで自分の仕事の予定が崩れてしまう。

仕事を大事にしたいのに他の人が仕事をしている時に仕事ができない、迷惑をかけてしまったり、評価が下がるかもしれないという気持ちが強くなり不調になる人もいます。

当院は、優秀な人がより快適に社会で活躍したり、生きやすくなるように、インポスター症候群に悩む方が気質をコントロールしやすくするサポートを行います。

インポスター症候群に悩む人がいたら

インポスター症候群の気質により生じた不安やストレスにより、一生懸命生きる人が一生懸命生きるほど、生きづらさを感じるようになることもあります。

生きづらさが続くと、落ち込みや不安が強くなったり、うまく眠れなくなったりと心身に影響がでて、過去、現在、未来に対して不安に思ってしまいがちになり、動きたいのにうまく動けなくなることもあります。

当院では「インポスター症候群」の気質による心身の波について、ライフスタイル、ライフステージに合わせて一人一人によってオーダーメイドで組み合わせサポートを行っています。

「こんなことで相談していいのかな?」という段階でも、「インポスター症候群」で生きづらさを感じているかもしれないと感じた方ははまずはお気軽にお問合せください。

診察の中でケアをしたほうがよいと判断された場合、サポートの治療をご案内いたします。

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