こんにちは、初めましてベスリクリニック保健師です
緊急事態宣言は解除となりましたが、新型コロナの影響で「コロナ鬱」というワードを耳にするようになった方も少なくないと思います。
私はべスリクリニックに勤務する前、精神科病棟にて勤務しておりました。その中で、うつ病再発を繰り返したり、社会復帰が困難となってしまった患者様を多く診てきました。
今回は、その臨床経験を踏まえて、抑うつ状態時、いかに早期介入が重要なのかをお話します。
うつ病ってどうやって判断されるのでしょう?
皆さんも見たことがあるかもしれませんが、うつ病の診断判断基準というものがあります。
それによると
- 抑うつ気分
- ほとんど毎日の不眠または睡眠過剰
- 死についての反復思考
などの9つの症状のうち、5つ以上が2週間以上続くこと
さらには 「他の疾患の可能性がない」などを判断して診断されます。
このように複数の条件を満たして初めてうつ病の診断基準を満たすこととなります。
専門的な用語ばかりですが、実ははうつ病の診断は、複数の条件や期間によって判断され、簡単には「うつ病」という病名はつかないと言えそうです。
「うつ病」と「抑うつ気分」はどう違うのか?
それでは「うつ病」と「抑うつ状態」の違いがあると思いますか?
「抑うつ状態」とは、憂うつな気分、気分が落ち込む、意欲が沸かない、何をしても楽しく感じないといった状態を指します。あくまでも状態ですので、頭痛、腰痛といった症状と同義です。
抑うつ気分はうつ病だけでなく、甲状腺機能低下症等の病気でも生じます。
ですので「抑うつ状態」=「うつ病」ではありません。
抑うつ気分は一時的に経験のある方も多いかと思いますが、ストレスの度合いが強く長期的であったり、生活習慣が乱れることで、長期間抑うつ状態が続くことがあります。
どんな状態で、専門家に相談したほうがいいのか
専門的な用語になりますが、精神疾患には「DUP」「ARMS」という概念があります。
- DUP…精神病未治療期間
精神疾患の症状を発症してから、継続的な治療が開始になるまでの期間を指す概念
DUPが短いほど予後は良く、長くなるほど予後は不良になると言われています
- ARMS…精神病罹病危険状態
精神疾患の発症リスクが高い状態を指す概念
この段階で適切な介入が出来れば、症状が軽快することが分かっています。
つまり、抑うつ状態で早めに介入することが出来れば、うつ病の発症を防ぐことが出来たり、もし発症してしまっても予後の悪化を防ぐことが出来るということです。
たくさんの患者さんを看てきたからこそ伝えたいこと
うつ病になりやすい人の特徴として、真面目で仕事熱心、責任感が強いなどが挙げられています。
今日、新型コロナの影響もあり、「抑うつ状態」になりながらもお仕事を頑張っている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
うつ病の治療と聞くと、薬物療法がメインで良いイメージをお持ちではない方もいらっしゃると思いますが、早期に介入することは大きな意味を持っています。
当院では薬物療法だけでなく様々な治療法がございますので、抑うつ状態でお悩みの方は一度ご来院いただければと思います。
参考資料:DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)
べスリクリニック
保健師・看護師 工藤優斗