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2019.11.29

女性ホルモン

働く女性のライフデザイン

日本統合医療学会会報に「女性のライフデザインを実現する医療の提供~ピルによる生産性向上と妊孕性温存でライフデザインを創る~」という題で田中 奏多先生が載りました。

働く女性のライフデザイン

 女性の社会進出や晩婚化・未婚化の進展により、ただ単に一生懸命働くだけでなく、自分の身体(卵子)のリミテーションを考えながら仕事や家庭などのライフデザインが必要とされる時代になった。
しかしながら、人間の身体は時代の変化があっても変わらず、20歳~30代前半までの身体的な出産適齢期は変わらない。「妊娠、出産をせず、本当にこのまま働いていいのだろうか?」と管理職などで活躍する30代後半~40代後半が、後ろめたい気持ちで働き、妊活を理由に退職するケースもみられる。

妊娠・卵子のリミテーション

妊娠には適齢期があり、35歳以上の出産は「高齢出産」といわれている。
身体や肌と同様に、卵子も老化(数が減り、質が低下)する。卵子は出生後に新しく作られず、数は限られている。一般的に35歳を過ぎると妊娠率が下がり、流産率、ダウン症発生率が上昇する。45歳になると「自分の遺伝子をもった子供を自分の手に抱けるのは」約1%という確率になる。(図1)


図1 日本産婦人科学会 2016年度体外受精治療成績

不妊症の原因

不妊症の女性因子には、排卵因子(卵子の質・数)と卵管・子宮・頸管因子などがある。(図2)
卵子の質の低下は酸化ストレスが関係しており、排卵で起こる急性ストレスと、加齢や不規則な生活習慣でおこる慢性ストレスがある。



図2 不妊症の原因

月経回数は約10倍増加

現代では、栄養状態の改善により初経が早まり、出産回数が減少し、生涯の月経回数が50~100回から450回に増加した。
その結果、子宮内膜症や乳癌、卵巣癌、子宮体癌のリスクが増加、また排卵の度に卵子に急性ストレスがかかる

子宮内膜症の増加

子宮内膜症は元々30~40代に多い病気であったが、初経年齢が早まり、生理回数が増加したことから最近は10~20代の女性も罹患するようになった。子宮内膜症は生理痛・腹痛・腰痛の原因となり生産性を低下させる。また子宮内膜症は性交障害、排卵障害、着床障害などを引き起こし、約50%が不妊症となるとされている。

女性ホルモン不調

月経周期はエストロゲン、プロゲステロンのホルモンの働きにより成り立っている。
月経時には生理痛や腰痛などで生活に障害をきたす「月経困難症」、生理の量が多い「過多月経」は卵胞期に「貧血」を引き起こし、排卵による「排卵痛」、黄体期にはイライラや頭痛、腹痛、むくみ、日中の眠気などの「PMS(月経前症候群)」、PMSの中でも特に心の不調が強くなり、抑うつ状態、過食、睡眠障害などがおこる「PMDD(月経前不快気分障害)」など、女性は常に女性ホルモンに振り回されている。

特にPMSは日常の小さな不調の積み重ね、不規則な生活や、社会生活上の人間関係などが大きく関わっている。




バイエル薬品 (株)「生理のミカタ」改変
図3 月経周期と不調

生産性と女性ホルモン

「健康経営」により社員の健康と生産性の関係が注目されるようになった。
不調時の業務遂行能力自己評価では、メンタル不調に次ぐ不調影響の強さに月経不順、PMSなどの女性ホルモンによる不調が認められており、客観的評価ではメンタル不調、心臓の不調、女性ホルモンの不調が指摘されている。しかしながら、ヘルスリテラシーと疾患の関係では女性ホルモンの不調のヘルスリテラシーが低いことが示されている。
女性ホルモンのコントロールは生産性の向上に新たな有用なツールとなる。


健康日本21推進フォーラム 2013 改変
図4 健康時と比べた不調時の業務遂行能力


健康日本21推進フォーラム 2013 改変
図5ヘルスリテラシーと疾患の関係


ライフ・キャリアデザインとしてのピル

日本は文化として、「性」に対する話題はタブーな一面があり、性教育に関しては「後進国」である。
ピルに関しては「ピル」=「性に奔放な女性が避妊のために飲むもの」の悪い印象があり、ピル内服率の国際比較では欧米が30%を超える中、日本はわずか1%程度である。

ピルには「避妊」だけでなく、短期的、中期的、長期的メリットがある。
短期的なメリットとしては、「生理の移動」ができ、締め切り日やプレゼンテーションの日をずらすことで業務に集中できる。また、子宮内膜が薄くなるため生理の量が減り、「貧血」、「生理痛」、「子宮内膜症」の治療・予防になる。
また、ホルモンが安定することにより「排卵痛」、「PMS・PMDD」の治療・予防になる。
中期的なメリットとしては「妊孕性の温存」があり、排卵を防ぐことで、卵子の急性ストレスを軽減し、子宮内膜症の予防として「いつか妊娠したい」ときの身体づくりができる「プレコンセプションケア」へつながる。
長期的なメリットとしては、子宮体癌や大腸がん、更年期の予防などがある。




図6 ピルのメリット

まとめ

これまでの医療は「病気を治す、予防する」という負から始まる視点で始まった。
これからの医療には「どんな人生をつくりたいか」を支援する正の視点も重要になると考える。
今後も産業医、主治医として女性の社会的活躍と自己実現に向けて医療から支援を継続する。

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