睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)や止まりかける状態(低呼吸)が繰り返される病気です。

睡眠時無呼吸症候群は呼吸が止まったり、いびきをかいたりするため、「寝ている時に首をしめられている、寝ている間にカラオケをしている」状態のようなものです。

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時無呼吸症候群では自分で気づかない小さな脳の覚醒を繰り返し、結果的に眠りが浅くなります。

朝おきてもすっきり感がない、朝起きると喉の乾きがつらい、日中に耐え難い眠気に襲われる、勃起障害、イライラなど、夜だけでなく昼の問題があります。

睡眠時無呼吸症候群の症状 セルフチェックリスト

    • □いびきをかいていると言われる
    • □起床時に喉が乾く
    • □日中に眠気に襲われる
    • □集中力が低下している
    • □イライラしてしまう

  • 症状
  • 合併症
  • 日中の眠気から

イライラや集中力の低下が睡眠時無呼吸症候群につながるの?と思うかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群は脳が休まらず、前頭葉機能が低下することにより感情のコントロールがしにくくなります。
日常生活における眠気だけでなく、感情のコントロールでも困る症状につながるのです。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は寝ているときに、のどちんこや舌の付け根が落ちる、筋肉の力が抜けてしまうことが原因で、気道内腔の陰圧バランスが崩れるために気道が閉塞することによって起こります。

睡眠時無呼吸症候群の合併症

睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気や朝のすっきり感のなさ、勃起障害、イライラなどの短期的に影響がでる病気ではなく、実は長期的に「心血管イベント」をおこしやすく、命へ影響がある病気です。

睡眠時無呼吸症候群の検査と診断

睡眠時無呼吸症候群の検査は自分の家でできる簡易検査(簡易PSG)と病院に泊まる精密検査(PSG)があります。

当院の睡眠時無呼吸症候群の検査はお仕事で忙しい方でも治療が受けられる自分の家で行うことができる「簡易検査」を導入しております

簡易検査でAHI の重症度、AHI 20以上40未満の場合はPSG検査をする必要があります。必要に応じて入院による「精密検査」の睡眠専門施設へご紹介をいたします。

※当院は「睡眠時無呼吸検査の簡易検査」のみを行っています。
簡易検査後の精査やナルコレプシーの精査は他院にご紹介させていただいております。

睡眠時無呼吸症候群の治療~CPAP~

当院の睡眠時無呼吸症候群の治療は標準的な治療のCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法装置)に加え、睡眠トレーニングで睡眠の質を上げます

※マウスピースによる治療(歯科医院さん)や外科的手術(手術ができる耳鼻科さん)へご希望の場合は積極的にご紹介します


睡眠時無呼吸症候群の予防

睡眠時無呼吸症候群は、首周りがふくよかになる肥満者に多く起こります。しかしながら、元々顎が小さい日本人は痩せている人でも睡眠時無呼吸症候群になりやすいと言われています。

その他にも舌が大きい人、扁桃が大きい人、上気道に炎症があるときには起こりやすくなります。
また、睡眠薬やアルコールでの筋肉の力が弱まることで症状が悪化します。

睡眠時無呼吸症候群の予防としては、BMIの適正化、アルコールの服用を控えることが望ましいです。

睡眠時無呼吸症候群のCPAP費用・保険適用

当院では、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法装置:シーパップ)を睡眠時無呼吸症候群の標準治療として対応しております。

CPAPとは、一定の圧を加えた空気を鼻から送り、空気の通り道を作ることで、寝ているときに呼吸ができるよう補助する治療です

副作用はありません。

CPAP治療中は症状が改善しているため「治った」と思われる方もいますが、多くの場合SASが完治したわけではありません。

根本の原因が解消されなければ、長期的な治療が必要となる場合が多いです。

睡眠時無呼吸症候群の動悸

睡眠時無呼吸症候群の人は、脳の小さな覚醒が睡眠中におこるためゆっくり脳を休めることができないために自律神経が乱れやすくなります。

その結果、動悸がおこりやすくなったり、冷や汗をかきやすくなったり、頭痛がしたりと様々な症状が出てきます。

睡眠時無呼吸症候群の女性

女性ホルモンのエストロゲン低下により女性の睡眠時無呼吸症候群は更年期に3〜4割増えると言われています。

女性ホルモンのエストロゲンは呼吸に関わる抗重力筋に関係しています。

更年期には、女性ホルモンのエストロゲンが低下することで、気道を支える筋肉が垂れやすくなり、睡眠時無呼吸症候群になりやすくなるのです。

ふくよかな人やいびきをかいたりしている人が睡眠時無呼吸症候群になるイメージがあるかもしれませんが、もとより日本人の骨格は睡眠時無呼吸症候群になりやすく、更年期になるとさらになりやすくなります。

痩せているから、自分は大丈夫。と思うのではなく、更年期世代で睡眠の質が悪くなったときには睡眠時無呼吸を疑うことも一つです。

睡眠時無呼吸症候群と花粉症 鼻詰まり

睡眠時無呼吸症候群の人は春の花粉症、秋の花粉症ともに事前に準備を行いましょう。

特に、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法装置)を使用している人は花粉症になると、鼻詰まりで苦しくて起きてしまうこともあります。

春の花粉症のおすすめは、2月14日から抗アレルギー薬を飲む「花粉症の早期療法」です。
早めにお薬を服用することで、症状が出る期間を短くし、症状を弱めることができます。

花粉症も日中の生産性のパフォーマンス低下に繋がります。働くビジネスマンのビジネススキルとして睡眠時無呼吸症候群、花粉症のコントロールができるようにしましょう。

睡眠時無呼吸症候群の人は、肥満になりやすい?

睡眠時無呼吸症候群では睡眠の質が低下することにより、食欲が上がりやすくなります。食欲を刺激するグレリンが増加し、満腹中枢を刺激させるレプチンが低下するのです。

また、脳内では睡眠中枢と摂食中枢が隣接していることから、「眠たいなぁ」が「お腹すいたなぁ」と脳で勘違いし、傾眠を紛らわすために寝る前にたべてしまい、なかなかダイエットがうまくいかないこともあります。

肥満者の40%はSASに罹患しており、SAS患者の70%は肥満者であるという報告もあります。
SASになると睡眠の質が低下して食欲があがりやすい、睡眠の質が低下して食欲があがるとSASになりやすい、SAS-肥満ループ、悪循環のループによりさらに進行が進んでいくのです。

睡眠時無呼吸症候群のCPAP使用のコツ

CPAPを使用しても、口があいてしまう…ということもあります。

その場合は2つのコツがあります。

①口テープをする

②チンマスクを使ってみる

CPAPを利用するときにはこの2つの取り組みをしてみるのが良いでしょう。

それでもなかなかうまく使えないときには、マスクのフィッティングをすると良いでしょう。

もしもマスクの交換やフィッティングを行いたい場合は、クリニックにご相談ください。