APD (聴覚情報処理障害)とは

「聞こえてるのに聞き取りできない」という症状は、APD(Auditory Processing Disorder):聴覚情報処理障害が原因の一つかもしれません。
APDには、聴力に問題がなく音が聞き取れるのにも関わらず、脳で処理して「話」の内容を理解することが難しいといった症状があります。

働く人のAPD(聴覚情報処理障害)

APDには、生まれつき聞こえにくい「先天的」なものと、大人になってからの「ストレス」により「突然」聞き取りづらくなる「後天的」なものがあります。
仕事を始めてから「聞き取りにくさ」のAPDを自覚し、相談される人も少なくありません。

日本では記載をしている文字の暗記をベースにした勉強方法と、聞いた情報をもとに理解をして発信する能動的な授業が少ないために日常生活の中で問題になりにくいという面もあります。

APD:(聴覚情報処理障害) セルフチェックリスト

□雑音の中で話すと声は聞こえるものの、内容がわからない

□聞いたことが、忘れてしまったり理解しにくい

□話を聞きながらメモやノートを取るのが苦手

□早口や小さな声が聞き取りにくい

□長い話をきくといつのまにかぼんやりしてしまう

□キーキー怒っている人の話が聞き取れない

□誰かの声や物音を聞くときにかなり集中する必要がある

□聞こえにくいために誰かと話すのをイヤに感じ、一人でいたほうが楽に感じる

□「もう一度話してもらってもいいか?」と聞く回数が他の人に比べて多い

□聞こえにくいことで周りの人から変に思われたり、面倒だと思われている

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大人のAPD(聴覚情報処理障害)の原因

APDでは発達障害との併存が注目されていますが、ワーキングメモリの低下など、認知的な偏りが要因の人が多くなっています。

目の前の仕事に集中する脳の機能として、「ワーキングメモリ」があります。
数秒、数分といった短い時間に、情報を保持、操作し「作業記憶」として用いられます。

ワーキングメモリの容量は、生まれながらの「特性」の一面もありますが、心身の不調で小さくなったり、過剰な情報が多くなって頭のキャパを占めてしまってうまく使えないこともあります。

ワーキングメモリが低下すると、集中したくてもだんだんと頭がぼーっとしてきたり、マルチタスクができないブレインフォグ(頭にモヤがかかったような感じ)になりやすい状態といえます。

APDの4つのタイプ

APDにはタイプが大きく4つに分かれます。

APDは耳の異常ではなく、脳の特性や損傷、障害が原因で現れます。

①脳損傷タイプ

②発達タイプ

③認知の偏りタイプ

④心理的な問題タイプ

上記4つのうち、当院で対応を行っているのは③と④となっております。

詳しくは下記に記載していきます。

当院でのAPDの治療法

APDの治療法は、残念ながら医学的に見つかっていないのが現状です。
しかし、「話を聞く」ことに対して必要な「覚醒水準(脳の活動状態)・注意力・集中力・認知・記憶・推測などの認知機能」に対しての治療を行うことで、症状の改善がみられております。

当院では、上記で述べたように、③認知の偏りタイプ、④心理的な問題タイプに対してTMS治療カウンセリングなどの治療を行っております。

認知の偏りタイプとは

話を聞くために重要な、注意力と記憶力
 ・相手の話に注意を傾けて集中する
 ・話の内容を理解しながら記憶を更新する
の2つを連携しながら繰り返し行うことが重要です。
これらはワーキングメモリが関わっており、TMS治療にてワーキングメモリの調整をおこないます。

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心理的な問題タイプ

ストレスや心理的な問題が原因になるAPDの場合も、TMS治療がおすすめです。

ストレスや過度の疲労など、心理的な問題によるAPDの特徴は、頭をぶつけたり、脳卒中などの器質的な症状がないにも関わらず、ある日「突然」出るということです。

ストレスはいわゆる落ち込みや不安、イライラなど心に出ることが多いとされていますが、自分の心の変化よりも体に症状が出る人も多いです。

具体的には、耳鳴り、めまい、腹痛、動悸、便秘、下痢、吐き気など様々な自律神経症状が出ることもあります。

TMS治療は2019年6月に保険診療化され、薬よりも副作用が少なく効果が高い新しいうつ病治療として注目されています。

特に、食欲や扁桃体などに関わるネットワークだけでなく、集中力や思考力をつかさどるネットワークの改善を行うことができるため、仕事に影響を出したくない働くビジネスマンにおすすめです。

例)文章を読んでいるのに、読み直さないと意味が受け取れない。

  話をしているときに、違うことを考えて上の空になってしまう。

  そんな状態はネットワークが活性化している状態です。

TMS治療は、脳の背外側前頭前野と呼ばれる箇所を刺激することで心理的な問題によるAPDを改善します

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副作用が少ない脳治療TMS治療とは

当院ではAPDの「覚醒水準(脳の活動状態)」+「注意・集中」に対して、副作用が少ないTMS治療を行っています。

TMS治療とは、

①磁気による薬に頼らない治療で薬の副作用が出やすい

②誰かに自分のことを話すことさえ辛い状態

といった際に、カウンセリングができる状態に整える治療です。

TMS治療による効果

□普段通りに仕事ができる

□そわそわ・イライラの改善

□判断力の回復

□気分の落ち込みの改善

□夜の寝つきがよくなる

□疲労感の改善

□食欲の改善

「脳の覚醒水準(脳の活動状態)」とは

脳の覚醒水準とは、

寝不足だったり、疲れている状態の時には脳の機能が低下しやすくなります。

具体的には、「ブレインフォグ」のように「頭にモヤがかかったようにぼんやり」してしまうこともあるでしょう。

忙しい時が過ぎ、混沌とした状態から離れたにもかかわらず、頭にモヤがかかる感じが残る、寝ても疲れがなかなかとれないときには落ちた覚醒水準(脳の活動状態)をもとに戻すTMS治療がおすすめです。

「注意・集中」について

相手の話に注意(集中)することは、脳のワーキングメモリが関わっています。
TMS治療では、このワーキングメモリを調整しています。
一つのことを考えようとしても、
・関係ないことや、未来の不安などが頭に浮かび集中できない時
・APDとして「聞き取りにくくなっている」時
などには、あなたの力になるかもしれません。

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APDカウンセリング

当院では、APDに対し、TMS治療だけでなくAPDカウンセリングを並行しておこなっております。

特に、APDには心理的な特徴として
□協調性はあるけれど、社交が苦手
□空気を読みすぎてしまう
□自分よりも周りがよくなるように頑張りすぎてしまう
□自分のことはだれも理解してくれないと感じる

の性格の人が多く、抱え込みすぎることでストレスがたまり、自分でストレスをコントロールすることが苦手な人が多いです。
当院では、TMS治療で症状を改善するだけでなく、

・自分で自分のストレスをコントロールできるように再発予防のAPDカウンセリング
・自分自身の特性をしり、不調の原因に向き合い、ビジネス上の悩みを克服するために、ビジネストレーニングを含めた心理的なAPDカウンセリングを行っております。

社会に出てから耳が聞こえづらくなったケース 30代女性 接客業

社会人になってから、主に会社で人の話が「聞こえづらいな」「何言っているのかわからないな」と思っていた。
聞こえづらさと同時に、仕事でミスも増えてきて「もしかしたらADHDなのではないか?」という疑念も持っていた。
転職をきっかけに症状がひどくなり当院へ来院することに。
耳鼻科での検査は異常なし。
当院での問診の結果、まずはAPDとして鰓弓神経不全状態の改善を目的とした治療を開始し、ADHDの可能性も引き続き検討していくこととなった。
カウンセリングでは、今の状態がどうして起こっているか、それの解決方法、日常に取り入れられる解決法、などを一緒に検討・実行していき、カウンセリングで決めたことを4週間実行した結果、ほとんど影響が無い程度に聞こえづらさが落ち着いた。
今後は通院間隔をあけて適宜フォローアップしていくこととなった。

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APDのよくある質問

APDは、どの病院の何科にいけばいいの?

APD自体、メカニズムも多様にあり、まだ研究途上のためわかっていない点が多くあります。
日本は欧米に比べると、APDに対する認知度が低く、残念ながら診断基準も確立していません。

そのため、日本の病院で診断ができる医療機関は今のところはほぼないと考えたほうが良いでしょう。

APDの診断は?

タイプによって神経内科、耳鼻科、小児科、精神科などがAPDの方が受診される医療機関としては考えられますが、診断や、障害者手帳の発行などはまだ日本では難しいと考えられます。

当院でも、医学的にAPDの概念、診断基準がまだ確立していないためAPDに対する診断は行っておりません。

APDの 診断方法

APDかも、と不安になった人はまず耳鼻科で聴力検査をしてみましょう。
音を言葉として聞き取れないだけでなく、音自体が聞き取りにくいというときには、聞き取りにくさがAPDではなく、「難聴」が原因である可能性もあります。
APDの条件として、以下の2点があげられます。
□聴力検査をしても異常は認められない
□音声として聞こえているのに言葉として聞き取れない
耳鼻科で聴力検査をしても異常がないときには、APDセルフチェックリストをおこなってみましょう。(本ページ序盤にございます。)

ADHD と発達障害(ADHD・ASD) は併発するの?

大人のAPDの4つの要因の内、最も多いのは発達障害(神経発達障害)と言われています。
発達障害のある人は聴覚的なワーキングメモリの数値が低い傾向にあるというデータあもありますが、臨床では

□話が長くなると話をまとめることができない

   ※特定の処理が優先され他の処理が抑制される

□話をきいていたのに別の刺激に気を取られてしまう

□メモをどのようにとればいいかわからない

□とったメモをなくしてしまう

などの悩みとして相談されることが多いです。

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※当院は発達障害専門の医療機関ではありませんので、APD併存の発達障害のお悩みに関しては主治医は発達障害専門医療機関での治療をお願いしております。