【生理後症候群】鉄不足?貧血?生理後の心身不調を解説

【生理後症候群】鉄不足?貧血?生理後の心身不調を解説

<生理後症候群とは?~生理後の不調~>

生理前の不調のPMS/PMDDは知っているけれど、生理前よりも生理後のほうが身体がだるい、眠気が強い、動悸がしたり不安になったり落ち込みやすい…

「生理前より、生理後の方が体調が悪くなってしまう」そんなあなたは「貧血・潜在性鉄欠乏」かもしれません。

生理後症候群」とも言われる状態ですね。

生理後症候群とは、生理が終わる頃から心や体に不調が出てくる状態のことをいいます。

原因として、生理による鉄不足(貧血・潜在性鉄欠乏)が考えられます。

「貧血」はしっかりみる医療機関が多い一方、「潜在性鉄欠乏」に関してはなかなか手が回らないこともあるようです。

最近の精神医学でもやっと分子栄養学の考え方が取り入れられ、「パニック障害に鉄剤を処方したところ、パニックが改善した」という研究が、日本の精神医学会で多く読まれていたり雑誌に取り上げられたりしています。

鉄不足には、生理の量が関係していることがあります。

生理の量は人によって異なり、自分が多いか少ないかは、周りの人と比べない限り気づきにくいものです。

そのため、実は生理の量が多い「過多月経」であることに、自分で気づいていない人も少なくありません。

ただでさえ、女性は1回の生理で男性の1ヶ月分の鉄を失います。

つまり、女性は男性の2倍鉄が必要なのです。

生理の量が多いか少ないかの1つの目安として、次のチェックリストを参考にしてみてください。

<生理の量が多いかも…?チェックリスト>

□普通のナプキン1枚では、1時間もたな
□昼でも、夜用ナプキンを使う日が3日以上ある
□以前より経血量(生理の量)が増え、日数も長くなった
□経血にレバーのような大きな塊が混じっている
□健康診断で貧血を指摘された
以上に当てはまる人は、貧血・潜在的鉄欠乏が原因となり、生理後に心身の不調をきたしているかもしれません。

<生理後症候群の症状~貧血と潜在性鉄欠乏>

「血液」は、「鉄」を材料にして「ヘモグロビン(Hb)」を合成することでできます。(分かりやすいように色々なものを割愛しています。)

「鉄」が不足すると「貧血」の状態により陥りやすくなります。

「潜在性鉄欠乏」は、「貧血」はないけれど「血の材料になる鉄の値が低い」状態を示します。

つまり、健康診断などでは貧血と言われないけれど、実は鉄分が足りていないという状態になります。

「潜在性鉄欠乏」は、様々な心身状態を引き起こします。

主に、憂うつ、イライラ、神経過敏、集中力低下、朝起きれない、ニキビ、肌荒れ、喉の違和感等があり、冷え性、易疲労感、不妊などの症状が出やすくなります。

<生理後症候群の診断>

医学の分野には、貧血や潜在性鉄欠乏という診断名はあるものの、生理後症候群という診断名は残念ながらありません

しかしながら、臨床で患者さんを丁寧にみると、生理後のほうが調子の悪い方が実際にいらっしゃいます。

その方たちの多くは、鉄不足、つまり血が不足している貧血や潜在性鉄欠乏になっていることが多いです。

<生理後症候群~貧血と潜在性鉄欠乏の検査>

当院では、生理周期をみながら血液検査を行います。

【血球成分:WBC/Hb/MCV/Ht】に加え、【鉄動態:鉄Fe/フェリチンFt】を確認し、貧血や潜在性鉄欠乏がないかを確認します。

血球成分は検診や内科などでも検査することがありますが、鉄Fe/フェリチンFtについては検診ではみられないことが多いです。

Hbをみて貧血がないかを確認するだけでなく、鉄が不足していないか、不足しているのであればその理由はなにか、慢性炎症や活動性の出血がないか等を確認することも必要です。

ちなみに、貧血は、大球性貧血・正球性貧血・小球性貧血に分類され、血液の材料である鉄の不足による貧血は小球性貧血であることが多いです。

<生理後症候群の治療>

当院では、生理後症候群(慢性の鉄不足)になっていないかを採血で確認した上で、必要に応じて鉄剤の処方、ビタミンCの処方、ピルの処方などを行うことができます。

「貧血・潜在性鉄欠乏」がみつかり治療をする場合は、

□自由診療での鉄剤処方
□ドラッグストアでの鉄剤の購入
□動物性の鉄(牛肉・豚肉)の摂取
をおすすめしています。

鉄剤のサプリメントを飲むときは、鉄の吸収率や他の貧血の治療、子供を授かるときの胎児のために、同時にビタミンC・ビタミンB12・葉酸を一緒に内服することをおすすめしています。

(特に妊娠中・妊活中の女性は、葉酸は普段よりも多い接種が推奨されています。)

ビタミンC・ビタミンB12・葉酸は水溶性ビタミンのため、量を多く摂取しても尿に放出されるため、蓄積の心配はありません。

また、心身不調の原因が鉄不足でなかった場合においては、ピル処方や当院の専門であるメンタル面のサポートを行うこともできます。

まずはお気軽にお問い合わせくださいませ。