こころもからだも元気になる食事の摂り方

長い梅雨を終え、いかがお過ごしでしょうか。これから暑い夏がやってきますね。
例年の夏とは違い、今年はマスクでいつも以上に暑さが厳しくなりそうです。元気な方でも熱中症になりやすくなります。今回は、夏を元気に乗り切るための食事法をお伝えします。

以前お伝えした通り、食事は良質な睡眠につながりますが、食事の摂り方にちょっとしたコツがあります。(睡眠との関連記事はこちら 

https://besli.jp/news/4608.html 

私たちがもっている2つの体内時計の働き

私たちは、朝起きて夜眠るという自然なリズムをもっていますね。実は、このリズムは体内時計(細胞内の時計遺伝子)によるものです。食事は、体内時計を規則正しく働かせるために大きな役割を担っており、肥満や生活習慣病の予防にも効果的です。
食事の中でも特に、朝食が大切です。朝食は朝の光を浴びて1時間以内に摂ることがオススメです。
というのも、体内時計は主時計と抹消時計があり、それぞれの重要な役割を果たしています。主時計は司令塔となり、その司令を受けて、全身にある末梢時計が調節役をしています。どちらも太陽の光によってリセットされますが、末梢時計は、朝食を摂ることでさらに活性化されるのです。
つまり、太陽の光プラス朝食をとることで、主時計と抹消時計が同調して正しく体内時計が刻まれるようになります。朝食を食べずにいると、体内時計が乱れてしまい、その結果太りやすくなったり、筋肉量が減ったり、頭が働かず仕事に支障がでてしまう、などの影響を及ぼし、体調を崩しやすくなります。。‬‬‬‬

体内時計に効果的な食事の摂り方

朝は、睡眠中にエネルギー補給ができないため飢餓状態です。スピーディーにエネルギー補給をするために、炭水化物(糖質)をとりましょう。白米やパン、シリアルなどがありますが、ダイエット中の方や糖質を控えている方は、血糖値がゆるやかに上昇する玄米や全粒粉パンにしましょう。
朝食を食べる習慣がない方でも、あきらめないでください。まずはバナナ・ヨーグルトなど手軽に食べられるものや、好きなものから取り入れましょう。
朝食をとるようになると体内時計の働きによって、朝お腹が空くようになり、だんだんと食べられるようになります。
一日の活力・気力・行動力を決めるのは、朝食です。

うつ状態改善を支える食事

 
私たちは、脳内の神経伝達物質セロトニンが不足すると、うつ状態になりやすくなります。
このセロトニンは、幸福ホルモンとも呼ばれており、セロトニンが正常に分泌している脳の状態を保てると良いですよね。セロトニンをしっかり分泌させるためには、体調を整えることと、セロトニンの原料になるトリプトファンを十分に補給することです。
トリプトファンは体内で合成されない必須アミノ酸の一種であり、体外からとる方法しかありません。特に朝食は、身体が最も栄養を欲している時なので、最高のタイミングです。
トリプトファンを多く含む食品
納豆 チーズ 卵 牛乳 みそ ヨーグルト 魚(あじ・さんま・ぶり)

当院のセロトニン外来では、このような食事のコツはもちろん、セロトニンホルモンをアップさせる生活のコツをアドバイスしています。

まとめ

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。何かできそうなことはありましたか?
食事のコツはたくさんありますが、完璧な食事をとるのは不可能です。
本来食事とは、自分に不足している栄養素をとろうと本能的に食べるものを選ぶといわれています。妊娠中の女性が今までと違ったものを欲したり、夏バテするとあっさりした食材が食べたくなるのも、私たちが健康に生きるための自然な行動です。ただし、脳が疲れているとそれに気づくことができません。無理に理想的な食事に変えるというよりも、それは自分が本当に食べたいものなのか?それを食べると気持ちが良いのか?ということを考えて選んでみてください。からだの良い変化が現れたら、きっとそれがあなたにとって良い食事です。
暑い夏、皆さんが元気に過ごせることを願っています。

保健師 助産師 看護師  長田梨那